ホンダ陣営期待の「ヴェゼル」は納期が長期化している(写真はイメージ)

 半導体不足による新車供給の停滞が新車ディーラーを悩ませている。ホンダが4月に全面改良した主力SUV「ヴェゼル」は順調に受注を獲得するものの、グレードによっては2021年度内の納車が難しくなる可能性も出てきた。カーナビゲーションシステム(カーナビ)の供給遅れで納車が先送りされるケースも出ており、販売現場では新車だけでなく用品の納期にも神経を尖らせる状況が続きそうだ。

 足元の新車市場は、コロナ禍によって自動車による移動が見直されていることやメーカーの新型車投入などによって受注活動は順調に推移しているとの声が少なくない。4月下旬からの大型連休期間では遠出を自粛する傾向も追い風となり、営業した店舗では一定の成果を上げた模様だ。

 こうした中、新車の長納期化が新車ディーラーの今年度業績にとって最大の不安材料となっている。ホンダが今年度の目玉として投入した新型ヴェゼルは、通常よりも大幅に納期が延びている。一部のグレードは来年4月以降となるとの声もあり、今年度業績への影響が避けられなくなった。主力コンパクトカー「フィット」は4月の登録台数が自銘柄の中で4番手と低迷しており、登録車販売をけん引するモデルとして新型ヴェゼルへの期待が高まっていた。

 ホンダは、5月も国内3工場で5、6日間稼働を休止する予定で、「販売現場ではどの程度影響が出るのか分からない」(ホンダ系ディーラー社長)と先行き不透明感が拭えない状況だ。「モノ(商品)が無い状況は自分達にはどうすることもできない。3月までに(供給量)の帳尻を合わせるのは難しいのではないか」(同)とし、販売戦略見直しやフィットのテコ入れを望む声も少なくない。

 このほかの系列でも半導体不足による新車供給停滞を危惧する声は小さくない。一部のメーカーは20年度の決算発表の中で、今年度における半導体逼迫の影響を示しており、特に上期は厳しい状況が続く見通しだ。

 さらに新車ディーラーにとっては、用品供給停滞への対応にも迫られる。ディーラーオプションに設定されるカーナビの中でも人気のモデルは納期が長引いており、場合によっては新車の供給よりも遅れるケースが出ている。用品待ちで車両の登録、売上計上ができない状況が増えれば、経営基盤の弱い小規模ディーラーなどは資金繰りに影響を及ぼす恐れもある。人気車の販売に依存することが難しい中、しばらくは車両、部品ともに在庫や供給体制を注視しながらの難しいかじ取りが求められそうだ。