ブリヂストンは12日、子会社のブリヂストンリテールジャパン(田中浩二社長、東京都中央区)を通じて、乗用車用タイヤのサブスクリプションサービス「Mobox(モボックス)」の提供を開始したと発表した。メンテナンスをパッケージ化したプランとして展開し、系列販売店への送客や顧客との接点拡大、顧客層の開拓につなげるとともに、売り切り型とは異なる新たな販売形態で、価格競争にとらわれない収益源としていく。
1日に系列販売店「コクピット」「タイヤ館」でサービスを開始した。契約期間は2年間で、店頭のほかウェブでも申し込み可能。立ち上がりは「スタンダード」と「ライト」の2プランを用意する。パンク補償や安全点検などのメンテナンス項目のほか、スタンダードプランにはローテーションやセンターフィット、窒素充てんサービスも付帯する。ユーザーは契約期間終了後も継続してタイヤを使うことができる。
主な顧客層として見込むのは、若年層や主婦層など、タイヤ交換やメンテナンスの経験が浅いユーザーや、初期費用を抑えつつ高性能タイヤを購入したいドライバーなど。保守費用を月額料金に組み込んでメンテナンス入庫のハードルを下げることで、店舗への送客や顧客との接点拡大を図るとともに、蓄積した顧客データの活用によるサービスの深化にもつなげる。広報担当者によると、今後は系列のタイヤ専門店だけでなく、ディーラーや給油所などの取り扱い店への導入も検討していくという。
モボックスは2017年に欧州でサービスを開始し、日本市場へは2地域目の導入となる。20年12月期業績が69年ぶりの最終赤字となるなど、事業構造の立て直しが急務となる中、力を入れるのがタイヤ販売後も利益を生み出すソリューションビジネスだ。昨年末に本格運用を開始したタイヤ空気圧監視システム(TPMS)「タイヤマティクス」など、すでに商用車向けではサービス化したものもある。乗用車向けにも新たな販売形態を導入することで、収益向上のさらなる一手を講じる。