写真はイメージ

 国土交通省は、トラックやバス、タクシーの安全運行に取り組む「事業用自動車総合安全プラン2025」を策定した。2025年までに24時間死者数を225人以下とし、20年実績に比べて事故による犠牲者を30人以上減らす。新たに重傷者数に着目した目標も設定。2120人以下を目指し、死者数の削減と合わせて交通事故による被害者全体の発生を抑え込む。また、トラックやタクシーなどで異なる事故の特徴を踏まえ、従来プランよりも踏み込んだ個別目標も導入した。それぞれの業態に合わせた適切な指針を示すことで、安全運行対策の実効性を高めていく狙いだ。

 新プランでは従来よりもきめ細かく目標を設定した。これまでの事故発生から24時間以内の死者数だけでなく、30日以内の死者数を260人以下とすることも目指す。これまでよりも長い目線で1つひとつの交通事故を捉えていくことで、より多くの命を守るきっかけとしていく。

 また、新たに業種ごとにみられる特徴的な事故を減らすため、新たな個別目標を盛り込んだ。乗合バスでは立って乗車するケースが多いことから、転倒など車内事故の発生が目立つ。新プランではこの目標を85件以下とした。このほか、貸切バスでは乗客の負傷事故件数を20件以下に、タクシーは出合い頭の衝突事故を950件以下、トラックは追突事故を3350件以下に引き下げる。業態の実態に合わせた取り組みを推進することで、効果的な安全対策につなげる。

 一方、重点施策の一つに「『新たな日常』における安全・安心な輸送サービスの実現」を盛り込んだ。新型コロナウイルス感染症などで変化する社会だけでなく、激甚災害が頻発している昨今の現状を踏まえた対応を推進する。下げ止まり傾向にある飲酒運転の撲滅に向けた取り組みを強化するほか、社会問題にもなっている「あおり運転」への対策も進める。加えて、従来、高齢者対策としていた施策を「ユニバーサルサービス」として身体障害者の利用など、これまでよりも範囲を広げた車内事故対策にも力を入れる考えだ。

 従来プランは20年度で終了。このうち、20年までに事故件数を2万3100件以下とする目標は、2万1871件となり達成した。しかし、24時間死者数の目標値には約20人届かなかった。飲酒運転ゼロの目標も、トラックは未達に終わっている。昨年は新型コロナの感染拡大で人流が減ったことによる事故削減の効果も少なくなかった。今後、社会経済活動が活発になる中で、さらに交通事故や犠牲者を抑え込んでいくためにも業界内でも一段の活動強化が求められそうだ。