ホンダは12日、軽オープンスポーツカー「S660」を2022年3月に生産終了すると発表した。1990年代前半にヒットした「ビート」の後継車種として2015年に19年ぶりの復活を果たしたものの、衝突被害軽減ブレーキの義務化など厳しくなる規制への対応が難しく、生産を終えることを決めた。モデル最後の特別仕様車としてコンプリートモデル「S660モデューロX」に「バージョンZ」を追加して12日に発売した。
S660は、本田技術研究所の設立50年(2010年)を記念したプロジェクトをきっかけに開発が始まった。世間で「若者のクルマ離れ」という言葉が使われ始める中、ホンダは「手軽に楽しめるスポーツカーを作りたい」と同モデルの開発を決めた。発売前の1年間は品質問題が頻発しており、毀損したブランドイメージを回復させるための役割も担った。
発売当時は月販計画を大きく上回るペースで受注を積み上げたほか、20年はコロナ禍を背景に開放感を楽しめるオープンカーのニーズが拡大したことで一時販売を持ち直したが、後継車種を開発するまでの台数規模を確保することはできなかった。
特別仕様車のバージョンZは、エンブレムやアクティブスポイラー、コンソールプレートなど専用装備を多数装着する。カラーは特別色のソニックグレー・パールも設定する。
価格は315万400円(消費税込み)。