内燃機関を競争力の軸に据えてきたマツダ。世界が電気自動車(EV)をはじめとする電動化へと傾斜し始めている中、内燃機関に将来性はあるのか。パワートレイン開発を担当する同社の中井英二(なかい・えいじ)執行役員に考えを聞いた。

(水鳥 友哉)

 ―内燃機関を取り巻く環境が大きく変わるが、パワートレイン戦略に変更は

 「当社では、2030年までにすべて電動化する方針を18年に掲げた。回生ブレーキによる燃費向上に加え、駆動力や静粛性、ドライバビリティーの向上にも貢献するモーターを使わない手はない。そして、電動化と同時に、内燃機関を改良し、30年以降にはバイオ燃料などの活用も拡大することで、サスティナブルな社会を目指すという考え方でやってきた。この方向性に変わりはないものの、ここに来て、その変化がものすごい早さになってきているとは感じる。一方、カーボンニュートラルを目指していく中で、ユーザーを困らせないように配慮していく必要はある。また、自動車側とエネルギープラント側が対立構造ではなく、連携していくことが重要になると考えている」

 ―21年度税制改正ではクリーンディーゼルエンジンのエコカー減税が見直された。逆風が吹くディーゼルエンジンは今後も残すべきか

 「ディーゼルエンジンは、リーン燃焼させることで、燃焼温度が下がり、窒素酸化物(NOx)の生成を抑えられる。比熱比も高まり、燃費も良い。大排気量化と過給でたくさんの空気を使って、予混合リーン燃焼の領域を広げることで、燃費・排ガス性能ともにまだまだ良くなる。特に軽油価格が安い国内では経済性も高く、ストロングハイブリッドと比較しても、十分優れたユニットであることに変わりはない」

 ―次世代ディーゼルエンジンも投入する予定だ

 「現行の『スカイアクティブ―D』では、圧縮比を下げて予混合で燃えるような領域をしっかりつくり、排ガス性能も燃費も高いディーゼルになった。近く投入予定の直列6気筒のディーゼルエンジンでは次世代の仕様に切り替わるが、その燃焼領域を広げることで、クリーンで燃費と出力も良くなる。この〝Gen2〟のディーゼルの後も遮熱性能の向上やバイオ燃料の活用を進めていく」

 「最近はEVの方に話が行くので内燃機関は古いものという風潮もあるが、何も古い技術を使っていたり、簡単な化学反応を使っていたりしているわけではない。燃焼というのは高度な化学反応の制御であるし、電池の化学反応よりも劣っているかというような、そういう問題ではない」

 ―EVなど開発領域の拡大で、開発効率のさらなる改善も求められる

 「それはそうだが、今までのように機構を新しくしなくてもどんどん進化するような枠組みができている。モデルベース開発も進んでいるため、今まで行ってきて良かった組み合わせは資産として活用できる。キャリブレーションでは人工知能(AI)の活用も進め始めた。開発効率は劇的に改善する」

 ―国内では「スカイアクティブ―X」の販売が伸び悩んでいる。戦略は

 「各気筒に搭載する圧力センサーなどからさまざまなデータを取れてきているので、使用状況に応じた燃焼やメカニズムがかなり解明してきている。こうしたデータを踏まえ、ユーザーの指示に対するトルクの応答性を高めるとともに、さらにEGR(排出ガス再循環)率を高めて安定的にリーン燃焼させていける。販売のことも考えると、リアルワールドの燃費だけではなく、〝カタログ燃費〟にもこだわっていく」