旭化成エレクトロニクスのHP

 昨年10月に発生した宮崎県内にある旭化成エレクトロニクス(AKM)の半導体製造工場の火災の影響が、カーナビゲーションメーカーや音響機器メーカーに波及してきた。同工場では音響機器に使用されるデジタルアナログコンバーター(DAC)チップなどを生産しており、日系メーカーを中心に高いシェアを持つ。DACチップの調達に支障が出たことで、ナビメーカーの中には生産のリードタイムが平時より伸びているケースもある。各社、他社製品への切り替えや生産調整などで対応を進めているものの「この状況が続けば4月以降に影響が顕在化するのでは」(ナビメーカー関係者)との懸念もくすぶる。

 フォルシアクラリオン・エレクトロニクスとパイオニアは、AKMのDACチップを採用している製品の生産に影響がすでに出ている。アルプスアルパインも、生産のリードタイムが伸長している。JVCケンウッドは、足元では在庫が確保できており2021年3月期の業績への影響も軽微とするものの、この状況が続けば「4月以降に在庫が足りなくなる可能性もある」と危機感を持つ。

 一般的に半導体工場は、設備の特性上、災害時などの復旧に時間がかかると言われている。AKMの該当工場に関しても復旧のめどは現時点でついておらず、長期間の稼働停止が予想される。

 事態の長期化を見越し、4社とも他社製部品への切り替えや生産調整を開始している。現時点では大きな減産までは至っておらず、完成車メーカーへの納品にも影響は少ないとする企業が大半だ。一方で、第5世代移動通信システム(5G)の普及や新型コロナウイルス感染拡大による「巣ごもり」需要でパソコンやスマートフォン向けの半導体需要が急伸しており、車載用途の半導体の確保が難しくなっている背景もある。「このまま需要過多の状況が続き在庫確保が難しくなれば、生産計画への影響は避けられない」(ナビメーカー関係者)との声もあり、各社とも状況を注視する。