社運を賭けて国内に投入した新型ノート

 日産自動車が、8年の長期間を経て主力小型車「ノート」を全面改良し、国内に投入した。ノートは2016年に独自の電動パワートレイン「eパワー」搭載モデルを発売してから何度もコンパクトクラスで首位を獲得し、日産の国内販売の大黒柱へと成長した。先代超えの期待を背負う新型はガソリンモデルを廃止し、日本専用車とするなど思い切った路線変更に踏み切った。低迷する国内販売の改革を進める日産が社運を賭けて日本市場に挑む3代目の開発背景を探る。

 同社が16年11月に2代目ノートに追加したeパワー搭載車は発売から好調な滑り出しを見せ、同月の乗用車車名別販売で1位を獲得。電動車ならではの加速性能や静粛性に加え、エンジンを発電のみに使ってモーターで駆動するという革新性も高い支持を集めた。現在、ノートのeパワーモデル選択率は7割以上を占める。18年暦年に続き、19年度も登録車の車名別販売で首位となった。初代発売から15年間累計の販売が約146万台に達する一方、2代目は発売からすでに8年が経過していた。

 「新しいコンパクトの基準をつくって一気に10年、20年飛び越えてやろうという思いだった」(第1製品開発部チーフビークルエンジニアの渡邊明規雄氏)―。遅れを取り戻すべく、開発陣がコンセプトを再定義する上でまず目を付けたのが車体寸法だった。

 プラットフォームの刷新に伴い全長を55㍉㍍短縮し、最小回転半径はトップクラスの4・9㍍を確保した。全長を縮めることにより後席スペースが狭くなるという懸念もあったが「コンパクトカーは取り回しの良さや運転しやすそうに見えることも大事」(日本商品企画部主管の遠藤智実氏)として室内空間と車体の小型化・扱いやすさのバランスを重視した。

 新型は2代目まで担ってきたグローバルカーという位置付けから一転、日本専用車へと方向転換した。これまで北米や欧州に展開する中でも、日本は暦年で17年から3年連続でコンパクトカートップの座を獲得するなど「圧倒的に日本で収益を稼いでいた」(渡邊氏)という側面がある。日本での台数増が業績回復の追い風となる。

 いかに日本ユーザーの心をつかむか。2代目ノートと共通プラットフォームを採用した世界戦略車「マーチ」は、先進国から新興国までカバーし、高いコスト競争力を確保した半面、「性能などの視点である程度妥協せざるを得なかった」(同)。低価格を売りに日本市場で勝負してもなかなかユーザーに振り向いてもらえず苦戦した。

 この反省も踏まえ、大きく日本専用車に舵を切ったことで、高強度と軽量化を両立する超高張力鋼板(超ハイテン材)など先端材料の調達にこだわることができた。メリハリをつけて開発資源を投入することで、内装部品も含め高品質な材料を採用しやすくなった。

 日産は23年度までの事業構造改革計画で、日本に毎年新型車を投入する目標を掲げる。すでに国内第1弾である「キックス」を投入し、今年中にはSUVタイプの新型電気自動車(EV)「アリア」も発売する計画。業績の立て直しに向け、日産の新たなブランドロゴを付けて生まれ変わったノートが果たす役割は大きい。