東芝は、モーターのスロット部に収納するコイルの脱落を防ぐ「くさび」に適した磁性材料を開発したと発表した。モーターのエネルギー効率を高めることが可能で、鉄道用の実機誘導モーターで効率が0.9ポイント向上することを実証した。世界中のすべてのモーターの効率が同水準向上したとすると、100万キロワットの発電所10基分に相当する削減効果になるという。高い耐熱性も実現しており、鉄道のほか自動車や医療機器、ロボットなど幅広い用途での適用を見込む。

 磁束制御性を持つ低損失で、高い耐熱性を持つ磁性材料を開発した。くさびへの磁性材料の適用は磁性くさび側に磁束を誘導し、エネルギー変換効率の向上が可能になる。ただ、従来の磁性くさび材料は、不必要な方向にも磁束が漏れたり、材料自体の磁気損失が大きかったりしたため、エネルギー効率を十分に高めることができなかった。

 開発品は薄片状の磁性金属粒子で構成し、磁気的な特性が方向で異なり、磁気損失が小さいのが特徴という。製造には磁性金属粒子を高耐熱性の結着を用いて成型し、220度の高温環境に長時間置いても重量がほぼ減少しないことを確認している。