テイ・エス テック(TSテック)は9日、今仙電機製作所と資本業務提携を結んだと発表した。株式公開買い付け(TOB)と第三者割当増資の引き受けで、現在3.06%の株式保有割合を34%まで引き上げる。TSテックは、車両の電動化や自動化で車室内に求められる価値が変化すると見込んでいる。機構部品を手掛ける今仙電機との提携関係を強化することで、従来のシート単独でのビジネス形態から、シートアジャスターや電装部品を含む座席領域全体で製品を提案できる体制を構築する。

 1株930円でTOBする。TOBで上限約520万株(25%)の買い付けを行い、残りを第三者割当増資で引き受けることで保有割合を34%にする。買い付けの期間は12月8日までを予定する。当初は完全子会社化も検討したが「現時点では(子会社化の)方針はない」(TSテック)とし、事業体やブランドは現状を維持する。

 TSテックはシートフレームなどを開発生産する。近年はCASE(コネクテッド、自動運転、シェアリング、電動化)に対応するため、センサーを内蔵した次世代シートの開発に力を入れている。保田真成社長は「シートを通じて乗員の健康状態や運転挙動をセンシングが出来るようになる」と将来のシートの在り方を展望しており、事業領域を電子制御ユニット(ECU)やセンサーまで拡大している。

 今仙電機は機構部品に加えて、ECUなど電子事業も手掛ける。TSテックのシートアレンジ技術やセンシング技術と、今仙電機が持つ機構部品を制御するための電装技術を融合することで、次世代製品の開発を加速する。

 今仙電機は、獲得した資金を「提携効果があるシートアジャスターなどの生産能力や研究開発に投資する」方針。工場の再編や設備の合理化にも投資する。