ゼネラル・モーターズ(GM)は20日、電気自動車(EV)の生産に向け、テネシー州スプリングヒル工場に20億ドル(約2100億円)を投資すると発表した。同社にとって3番目のEV生産拠点となる。8月に発表したキャデラックブランドの新型クロスオーバーEV「リリック」などを生産する計画で、工場の拡張や生産設備の増強などに充てる。

 同工場ではリリックのほか、従来から同工場で生産しているキャデラック「XT6」や「XT5」といった内燃機関モデルの製造も継続する。工場内のペイント部門などを大幅に拡張するとともに、コンベアや制御機器、工具などEV生産に必要な設備も増強する。

 同社は、2025年までにEVと自動運転の分野に200億ドル(約2兆2千億円)を投じることを表明しており、今回の投資もその一環。1月には、ミシガン州デトロイト市のハムトラミック工場に22億ドル(約2300億円)を投資し、EV専用組立工場の「ファクトリー・ゼロ」に転換すると発表。「GMCハマーEV」の生産を21年後半に開始し、自動運転EV専用モデル「クルーズオリジン」も今後生産する予定で、電動化を加速する。

 スプリングヒル工場への投資は、11月3日の米大統領選を見据えた両陣営へのアピールとの見方もあるとされる。テネシー州では22日夜(日本時間23日午前)、トランプ大統領と民主党のバイデン氏によるテレビ討論会が開かれた。