二輪車市場はコロナ禍を契機に上向くか

 二輪車の需要が堅調だ。日本自動車工業会(豊田章男会長)が発表した7~9月の出荷台数は9万5107台で前年同期比0・5%減にとどめた。原付は落ち込んだものの、軽二輪車(126~250cc)は大きく伸びた。前年同期が消費税増税前の駆け込み需要で高水準だったことに加え、コロナ禍の感染拡大で国内消費が低迷したものの、四輪車と比べて落ち込みは限定的だった。新商品効果もあるものの、「3密」を避けて移動したいというニーズの拡大も販売を下支えする追い風になったとみられる。

 4月以降、緊急事態宣言などの影響で二輪車販売店への来店数は一時的に減少した。工場の稼働停滞による影響もあり、4月の出荷台数は前年同月比11・4%減、5月は同27・9%減と大きく落ち込んだが、7月には同7・2%増と回復基調に転じた。

 車種別では原付第1種(50cc以下)が同6・4%減、原付第2種(51~125cc)が同9・6%減、軽二輪車が同41・5%増、小型二輪車(251cc以上)が同14・5%減となり、軽二輪車に人気が集まった。

 軽二輪車が伸びた要因の一つは新商品効果だ。ホンダは2月、未舗装路も走れるスクーター「ADV150」、3月にクルーザーモデル「レブル250」を全面改良して発売。ヤマハ発動機は1月、生産終了前の最後のモデル「セロー」のファイナルエディションを投入した。終了前の駆け込み需要もあり、セローの1~7月の累計販売台数は前年同期と比べて約2倍の伸びとなった。これらの車種を含めて売れている車種は、趣味性の高いモデルが多い。スズキのアドベンチャーバイク「Vストローム250」は17年の発売から期間が経過しているものの、コロナ禍でも好調な売れ行きを持続する。

 一般的にコロナ禍では公共交通機関の代わりの通勤手段として二輪車のニーズが増えているといわれる。ただ、価格面で通勤用途に最も適していると原付第1種や第2種は増加していないだけに、実際はレジャー用途として二輪車を求めるユーザーが多いといえそうだ。

 ピークだった1982年の300万台からに40万台規模に縮小した国内二輪車市場。国内経済に大きな影響を与えたコロナ禍だが、二輪車業界にとって「ポジティブな影響」(ヤマハ発・木下拓也執行役員)もある。コロナ禍を契機に市場が上向くか、注目される。