S-DRIVE 誤発進防止システム2
鈴木順社長(写真右)と鈴木洋平CS本部長

 アクセルとブレーキの踏み間違いによる誤発進を回避し、安心・安全をサポートする「S-DRIVE誤発進防止システム2」が日刊自動車新聞用品大賞2020の安全サポート部門賞を受賞した。年間約4千件発生しているといわれる踏み間違い。同社では約15年ほど前から同製品の開発に着手。「ヒューマンエラーは誰にでも起こり得る。万が一の事故を防ぎたい」という思いで製品化にこぎつけた。

 ―安全サポート部門賞を受賞した
 「この製品は『事故を減らしたい』この一心で15年ほど前から開発を始めた。前モデルは09年に発売することができ、用品大賞の『セーフティ部門賞』をいただいた。前モデルから踏襲している機能として、シンプルにオンオフができること、見栄えはアナログでも機能はデジタルであること、乗る人の乗り方を学習すること、逆光や雪道では使えないなど、使用シーンを選ばないことなどがある。安心安全に関わる用品だからこそ、販売の方法にもこだわっている」

車のプロが販売時に製品の特徴を必ず説明

 ―こだわりの販売方法とは
 「販売店には自動車のプロであることを求めている。インターネットなどで製品のみを販売するのではなく、取り付けが前提となる。それ以外の販売手法は採用していない。現在は全国に5500店舗の販売店があるが、これらの販売店はすべて当社の講習を受講いただいている。そして、講習を受講済みの販売店はマイスターとしての資格を提供している。販売時にはエンドユーザーにこの製品の特徴、ポイントなどを必ず説明することも徹底している。だからこそ、発売以来トラブルもなく販売することができているのでは。こうした取り組みを継続してきたことで、国土交通省から『後付け急発進抑制装置』としての認定につながったのではないかと思う」

 ―取り扱い販売店も急速に増加している
 「当初は全国300店からスタートした。それがカー用品店や整備工場、中古車販売店などの事業者が販売店となっていただいたおかげで、今は5500店のネットワークにまで拡大することができた。日本自動車整備商工組合連合会とのお付き合いで、そのネットワークはさらに広がった」

車販時や車検・整備入庫時に提案を

 ―ニーズが拡大した背景は
 「昨年5月に池袋で起きた自動車暴走死傷事故の影響が大きいだろう。あの直後から飛躍的に問い合わせ件数が増加した。その後、国や東京都の補助金などもあり、さらに販売台数が伸びた。高齢者だけでなく、運転中にヒヤッとした経験のある人などが装着したり、お子さんが親御さんを心配してプレゼントするケースが多い。事故として警察に届けが出ていなくても、危険な思いをしたことがある人はきっと多い。実際の件数は10倍くらいあるのではないか。地方都市に住む高齢者の中には、乗らざるを得ない人もいると聞く。そうした人たちが安心して車に乗ることができるように、車にできないことをサポートするための製品づくりをしていきたいと考えている」

 ―提案機会はたくさんありそうだ
 「車両販売時だけでなく、車検や点検、整備入庫時には提案しやすいのではないか。実際に、整備事業者の中にはそういった提案をしているところもある。整備という技術力があるからこその提案ができるはず。また、ヒューマンエラーは自分の運転だけのことではない。バイクや自転車、歩行者の急な飛び出しによって引き起こされる運転ミスもある。踏み間違いは年代に関わらず起きうる。使用しないときはスイッチを切ることもできるため、高齢者だけでなく、さまざまな方に使っていただきたい」