日本ペイントホールディングス(HD)は21日、シンガポールの塗料大手ウットラムグループとのアジア地域における合弁会社を完全子会社化するとともに、インドネシアにおけるウットラムの塗料事業を買収すると発表した。合わせてウットラムは、日本ペイントHDによる第三者割当増資を引き受け、出資比率を現在の39・6%から58・7%に引き上げる。経済成長を続けるアジア市場で両社の塗料事業を統合しシナジー効果を生み出す。日本ペイントHDはウットラムの子会社となることで、将来への持続的成長につながる強固な財務基盤が整い、純利益は6割増、1株あたりの利益(EPS)は10%以上増加するとする。

 「ウットラムによる子会社化が目的ではない。成長に向けた資本調達だ」。日本ペイントHDの田中正明取締役会長代表執行役社長兼CEOは21日に行ったオンライン会見でこう強調した。日本ペイントHDとウットラムは、約60年に渡りアジア地域で事業連携を強化してきた経緯がある。

 日本ペイントHDは、1962年にアジアでの合弁事業を開始。2014年にはこれを連結化している。今回、ウットラムの子会社となり、両社の塗料事業を統合することで「新しい基盤で成長を加速させていく」(田中社長兼CEO)考えだ。

 ウットラムによる取得総額は約1兆3千億円で、21年1月1日の買収手続きの完了を予定している。日本ペイントHDは増資で得た資金でアジアでの合弁会社を約1兆500億円をかけて子会社化するとともに、ウットラムのインドネシアにおける塗料事業を約2300億円で買収する。ウットラムの子会社になった後も経営体制に変化はなく、上場も維持するという。