人材サービス大手のパーソルグループとドライビングシミュレーターのアイロック(古賀琢麻代表取締役、名古屋市天白区)は15日、商用車用シミュレーターを共同開発すると発表した。人手不足が深刻な運輸業界で運転手の効率的な養成を目指す。試作機は今秋に公開する予定だ。

 パーソルR&D(礒田英嗣社長、名古屋市中区)とアイロックが共同開発する。パーソルR&Dは商用車のエンジニアリングサービスを手がけており、乗用車用シミュレーター「T3R」=写真=を市販するアイロックは仮想現実(VR)を駆使した運転感覚や車両挙動の再現性に強みを持つ。まず、車両総重量(GVW)12㌧級の大型車向けを開発し、その後、中・小型トラックやトラクター(けん引車)、バスなどに対象を広げる。

 商用車は運転感覚や死角、積載時の車両挙動などが乗用車と大きく異なり、一定の技量を得るまでには経験が必要だ。運送各社も国土交通省の規則に従い、運転経験の浅い「初任運転者」などに一定の教育を施している。ただ、実車を使っての指導は手間がかかる上、コロナ禍で対面や同乗での指導も実施しにくい状況だ。

 両社は、VRを駆使したシミュレーターで商用車の死角や車両の挙動などを正確に再現したり、さまざまな状況を擬似的に体感させることで運転手の早期養成に役立つと見ている。大型車向けの試作機は、コンピューターグラフィックス(CG)や映像の見本市「コンテンツ東京2020」(10月21~23日、東京ビッグサイト)で披露する予定だ。