コロナ禍で観光旅行や出張の需要が激減し、レンタカー事業はかつてないダメージを受けている。足元では回復への兆しも見えつつあるものの、先行きは楽観できない状況が続く。4月からニッポンレンタカーサービス(NRS)の指揮を執る藤原徳久社長に今後の戦略などを聞いた。

(西村 真人)

 ―社長就任の抱負は

 「当社は2018年に店舗運営を担うすべての法人を子会社化し、全拠点の直営化を成し遂げた。それぞれ法人は違うが、今後は本当の意味で一つのニッポンレンタカー(NR)にしたい。4月の社長就任時には『ONE NR』というスローガンを打ち出した。NRSも17社ある地域子会社も一つのチームという事を浸透していきたい」

 ―グループの一体化を進める上での施策は

 「今年から新たな表彰制度を設けた。グループ全体の業務改善や売り上げの拡大に資するアイデアを提案したスタッフを対象に『ONE NR大賞』として表彰するものだ。これまでも業績などに応じた表彰はあったが、グループへの貢献という切り口はなかった。好事例は毎月吸い上げ、グループ全体に横展開する」

 「人事交流も進める。現場で経験を積んだ人材にNRSで働いてもらい、戦略の策定に現場の意見を取り入れる。表彰制度で褒める文化を定着し、人事交流で現場に資する施策を作っていく」

 ―レンタカー事業の課題は

 「社長就任前は、東京と神奈川の事業を担うニッポンレンタカーアーバンネットの社長も兼務した。この中で感じたのは、損益分岐点が少し高いという事だ。グループ各社の損益分岐点を下げる努力が必要だ」

 ―具体的な戦略は

 「東京、神奈川でも実践したが、店舗が集中する都市部で有効なのは『ハブ&スコープ方式』を取り入れた店舗体制だ。ハブとなる営業所に人員を集中し、周囲の営業所で人員が足りない時はハブ拠点から派遣するフレキシブルな仕組みで人員の削減効果がある」

 ―地方拠点への取り組みは

 「デジタル技術を活用した戦略を進める。人工知能(AI)によるデータ分析を参考にし、営業所ごとに最適な車両配備につなげる。地域によってレンタカーの最需要期は異なるが、全国の動向を見ながら車両をグループ会社間で流動的に移動できる仕組みを整えれば、車両コストの低減につながる。これは直営化に移行したからこそ得られるメリットだ。親会社の東京センチュリーと共に当社のデジタルトランスフォーメーション(DX)を進めており、DXは業務の効率化や顧客の利便性向上などさまざまな領域で戦略の柱になってくる」

 ―グループ運営における課題は

 「正直いうと今までのニッポンレンタカーは全国一律行政でやってきた。ここに地方の色をつけていく。まずは、年内にも各社ごとの中長期的な経営計画のアウトラインを策定し、地域ごとにどのような戦略が最適かを浮き彫りにする。NRSの現中期経営計画は21年が最終年だが、次期中計はグループ各社の戦略を積み上げて策定する」

 ―新たなサービスの計画は

 「レンタカーとカーシェアリングの中間としてセルフレンタカーをトライアルしている。コロナ禍で不特定多数が利用するカーシェアに不安感を持つユーザーも出ている。セルフレンタは洗車、除菌を施してから貸し出すのでニーズは高まる。通常のレンタカーやセルフなど、さまざまな需要に対応するサービスを提供する。個人的なイメージだが、有人、無人などサービスの違いを料金に反映できればベストではないだろうか」

 〈プロフィル〉ふじわら・のりひさ 一橋大学商学部卒。1985年4月第一勧業銀行(現みずほ銀行)入行、2013年5月みずほデリバリーサービス社長、19年3月ニッポンレンタカーサービス取締役。1962年8月生まれ、57歳。愛媛県出身。