法人向けAI組織構築ソリューションサービス「Aidemy Business」などを展開するアイデミー(石川聡彦社長、東京都千代田区)は、創業者である石川社長が東京大学在学中に設立。『先端技術を、経済実装する』を企業理念に、AIをはじめとした新たなソフトウエア技術を、 いち早くビジネスの現場にインストールし、次世代の産業創出を加速させる事を目指している。2017年12 月に『10秒で始めるAI プログラミング学習サービスAidemy』をリリースし、サービス開始約2 年で登録ユーザー数6.5 万人を突破するなど、日本最大級のAI学習オンラインサービスを提供している。現在では個人向けに留まらず法人向けにもサービスを展開しており、企業のAI プロジェクト内製化に向け、教育研修から事業定義・試作品開発・実運用までを一気通貫で支援している。

 現在、メーカーと呼ばれる製造業の分野にソフトウエア企業の進出が目覚ましい状況だ。石川社長は「自動運転がその最たる例」と分析する。日本が誇るハードウエア産業である自動車製造の領域にソフトウエア企業が次々に参入するなかで「日本の企業は非常に強い危機感を抱いているはず」(同)とする。

 こうした状況のもと、各企業によるAIの導入は急速に進んでいるとする半面、正しい運用を行えないことによる『AI導入失敗例も散見される』という。その失敗要因とは・・

アイデミーが導き出す『失敗の要因』3か条

―あいまいなゴールでスタートする―

 AIを導入するバリューチェーンの中にはPoC(プルーフ・オブ・コンセプト=実証実験をする試作品)開発がある。PoCを経て最終的な運用が行えるわけだが、単なるアイデアベースなど現場の課題に則していないままPoC開発をスタートさせてしまうことで後々エンジニア、プランナー、マネージャーなどの認識が違うことが判明してしまうという例。求める性能を明確に定義することで失敗を防ぐ可能性は高まっていく。

―100%の精度を求めすぎ―

 AI導入により製造現場工程の省力化が進んでいるが、AIに全てのオペレーションを任せる完全自動化は難しい。なぜなら、AIは過去のデータを学習して機械学習のモデルを作るので、過去になかったことは正しく分析することが出来ないからだ。100%の成功や精度をプロジェクトに求めるのではなく、AⅠと人のダブルチェック体制をどう作るのかが成功のカギとなる。

―AIは『魔法の杖』ではない―

 物事を分析する場合、人間が説明できる仮説を立てて外部要因などをデータ化することでAIの分析は可能となる。一方で人間でも説明ができない現象をAIに分析させてもどうにもならない・・・。 

オンライン学習サービスとAIプロジェクトの内製化を支援

 これら失敗事例の根本的な要因としてアイデミーでは「AI人材の不足」を掲げる。そしてこうした現状を打破するべく、同社では『オンライン学習サービス』と『AIプロジェクトの内製化を支援するコンサルティングサービス』の提供を行っている。企業が必要とするAIの内製化支援を行えること、つまり『専門知識を持っている企業の社員にAIの知識を身に付けてもらう』ためのサービスを提供できることが同社の強みなのだ。

ニーズが高まるオンライン学習システム  

 今春は新型コロナウイルス感染症の影響により、社内業務に様々な弊害が出始めている。特に入社時期と重なったため、全社での新入社員研修の開催が困難な状況となったほか、製造業を中心に密集を避けるため業務をストップせざるを得ない状況となった。

 こうした状況の中、eラーニングを活用した『オンラインによる組織のAIリテラシー研修』を提供してきた同社に対し、従来の研修や業務を行えない社員に『eラーニングを活用してAIリテラシーを身につけさせたい』という問い合わせが増加している。複数の都市で緊急事態宣言が解除された5月下旬も、こうした問い合わせは続いており、この状況だからこそ新しい技術を身につけてビジネスの変化に対応しようというムーブメントも感じられる状況としている。