自動車検査登録情報協会(自検協、後藤悦治郎理事長)は、国土交通省が推進する継続検査OSSの利用拡大策として「スマート継続OSSシステム(スマート継続)」を開発し、指定整備工場向けに提供を行っている。今年度のスマート継続による電子保安基準適合証(電子保適証)の交付件数は80万件を超えるなど広がりを見せている。自検協ではスマート継続のメリットである「効率性」「正確性」「低コスト」をアピールすることで国内のメーカー系販売会社はもちろん専業指定整備工場などに対しさらなる利用促進を図りたい考えだ。

 スマート継続は、指定整備工場が電子保適証とOSS申請依頼情報を作成することを基本としたシステム。専用ソフトなどを必要とせず車検証のQRコードを読み取るだけで電子保適証のほとんど全て(走行距離のみハンド入力)が完成する。登録車と届出車どちらの電子保適証の作成にも対応するほか、ハイブリッド申請用電子保適証の作成にも対応している。作成した電子保適証は登録情報処理機関の保適証サービスに、OSS申請依頼情報はOSS申請共同利用システム(AINAS)にそれぞれ送信される。スマート継続を利用することで指定整備工場における検査員の業務効率化が図れるようハンド入力を極力排除し、正確かつ効率的に電子保適証とOSS申請依頼情報が作成できる仕組みだ。

 利用にあたり専用のパソコンやソフトは一切不要で、一般的なパソコンとインターネット回線があれば利用が可能。また、導入の初期費用は不要で、電子保適証の「交付1件あたり31円(税込み、令和2年1月より)」の利用料のみで、月額保守費用なども不要だ。

 ①申請代理人のシステムに依存せず電子保適証を作成し、OSS申請依頼情報連携が行える。

 ②電子保適証と同時にOSS申請依頼情報をシステムで一括作成し、保適証サービスとAINASに一括送信するため双方の内容に差異が生じない。

 ③国交省の車検証情報を基にほぼ全ての項目を自動入力できるため、短時間かつ正確に保適証を作成できる。

 ④電子化された新旧自賠責情報を自動入力できるため、OSS申請時の自賠責エラーが発生せず、窓口申請への切り替え等の手戻りが生じない

―などがあげられる。

 スマート継続では利用者の要望に応じたシステムの改修を随時進めている。

 これまで追加した機能として――

 『自動車重量税額、検査手数料事前算出機能』

 国交省の次回重量税照会サービスから自動車重量税額を取得する機能を追加し金額の事前算出が可能となった。

 『ユーザー情報の一括設定機能』

 検査員等の異動が発生した際にもワンクリックでシステム設定が行えるので、複数の拠点があっても検査員等の反映作業が容易に行える。

 『車検短縮防止機能』

 OSS申請日を調整することで、誤って車検日が短縮されないようにできる。

 『申請依頼書編集機能』

 代理人や申請運輸支局窓口に提出する継続検査一覧表を加工、編集し出力することが可能。任意の車両の除外や運輸支局の交付順に一覧を並べ替えることも可能。

 『OSS申請結果の当日取得機能』

 代理人からの申請結果を待つことなく、OSS申請結果を申請完了の当日に個車ごとの重量税額等を含むCSVデータで出力が可能。

 『経理処理連携機能』

 オーダーナンバーや、受注番号等とOSS申請情報をリンクさせることで、納付した自動車重量税額等を経理処理に連携させることが可能。

 『OCR・納付書印刷機能』

 自賠責が持ち込みにより電子化されておらずやむを得ずハイブリッド申請を行う場合等に必要となるOCRシート、自動車重量税納付書等を印刷する機能――となっている。

 今後の改修予定として、車検証情報を反映した指定整備記録簿等を順次追加する予定だ。

 OSSに関する政府方針では、2021年度までに継続検査のうち70%をOSS申請とすることを目指している。こうした指針を実現するべく自検協では「スマート継続」の利用促進を進めている。「スマート継続」により「簡便」「迅速」「正確」な保適証とOSS申請依頼情報の作成が可能となり、自動車販売店や専業指定整備工場といった導入側では一層の業務効率化、業務精度向上によるミスの低減はもちろん、従業員の負担軽減による働き方改革にもつながると大きな期待が寄せられている。