ニチリンU.K.

自動車部品を製造するニチリンは、英国が合意なきEU離脱する可能性が高まっている中、ホンダが英国工場の閉鎖を決定したこともあって、英国での生産を2020年6月に停止すると発表した。

英国工場で生産している部品はスペインの工場など、グループ各社の生産拠点に順次、移管する予定。生産停止後、従業員は解雇するものの、設備はグループ会社が活用する予定。

同社の英国マンチェスター市の生産拠点「ニチリンU.K.」は、自動車用・二輪車用の各種ホースを製造している。主要納入先であるホンダの要望に沿って日本・北米・アジア・欧州の世界4極体制を構築するため、1999年2月に設立した。主要納入先である日系自動車メーカーの欧州での販売が低調となり、生産量も苦戦していた。ただ、2013年にジャガー&ランドローバーからの受注を開拓するなど、販路を拡大してきた。

しかし、ホンダが英国工場とトルコ工場を2021年中に生産を終了して工場の閉鎖を決定した。さらに、英国がEUとの合意なき離脱となる可能性が高くなり、英国拠点からEU向け部品供給などの混乱も見込まれ、先行き不透明感が増している。リスク回避と、グループの欧州事業を再編するため、英国工場は2020年6月に生産を停止することにした。

英国工場の従業員は解雇する見通しで、2019年10-12月期に約100万ポンド(約1億3000万円)の費用を引き当てる予定。

一方、ニチリンは、中国に新設した蘇州日輪汽車部件の工場が完了したため、中国子会社の上海日輪汽車配件から順次、生産を移管し、2019年末までに完全移管する。