日本でもこの間、各自動車メーカーなどが再プラ利活用を模索してきた。ホンダは21年8月、三菱ケミカルなどと組み、アクリル樹脂の水平リサイクルに着手。廃車から回収したテールライトをケミカルリサイクルして部用品に再生するもので、25年には「N-ONE e:(エヌワンイー)」の純正アクセサリーに設定するドアバイザーで実用化を果たした。耐衝撃性と成型性を両立した材料技術を新規開発し、ボディーパネルのような車体部品に応用する未来像も描く。
豊田合成も、廃車のバンパーなどから回収したポリプロピレン(PP)を50%配合した再プラを開発。トヨタ「カムリ」のグローブボックスなどで採用実績を得た。
一方で、本格普及には道半ばだ。ある内装部品メーカーの幹部は「技術的には何の問題もなく(再プラ使用品を)作れるが、日本ではバージン(新品)材との価格差を誰が負担するのかという議論にまで至っていない印象だ。国内メーカーよりも欧州メーカーの方が、提案を前向きに聞き入れてくれている」と打ち明ける。
政府も手をこまねいているわけではない。欧州での規制議論の進展を踏まえ、24年11月に環境省と経済産業省が「自動車向け再生プラスチック市場構築のための産官学コンソーシアム」を設立。今年3月末に公表した行動計画(アクションプラン)の第2版では、具体策として「再プラ集約拠点」の設置を新たに盛り込んだ。個社の取り組みや限られた企業間の連携では対応に限界がある中、全国数カ所に再プラを集約し、供給網を構成する各地域事業者を巻き込むことで、資源量の安定化、品質向上・均質化・安定化、コスト削減につなげる青写真を描く。
この一環として三菱ケミカルは5月22日、使用済みプラの回収・中間処理事業者などと組んで、集約拠点づくりに向けた実現可能性調査を始めると発表した。トヨタ自動車も、廃棄物選別の初期工程を支援するソリューションサービス「ドマティクス」を通じて取り組みに協力する。
国内での再プラ供給網の構築が緒に就いた一方、軌道に乗せるには不安材料もある。中国の動きだ。PwCコンサルティングの細井ディレクターは「もともとの人件費の安さに加えて国家的な戦略もあり、電池なども含めてリサイクルの規模が急拡大している。動脈産業、静脈産業の双方で、中国は欧州以上に存在感を増している」と話す。中国国内ではここ数年で大規模な再プラ工場が複数稼働した。東南アジア地域にも中国資本の入った再プラ拠点が進出している。安価な中国製品の流入で、欧州の再プラ工場が相次いで倒産した事例もあるという。バージン材と比べて高価な点が再プラ普及の妨げとなっていただけに、コストの低下は一面では好材料であるものの、日本の再プラ市場が採算性や国際競争力で劣後する可能性もある。
日本自動車工業会(佐藤恒治会長)や日本自動車部品工業会(齋藤克巳会長)などで構成するワーキンググループが今年3月にまとめた報告書でも、中国での再プラ生産拡大により日本から原料が流出し国内供給量の増加が妨げられる可能性や、中国製の再プラが流入し国内産業衰退の可能性が指摘されている。
自工会の試算では、自動車1台当たりのプラスチック使用量は平均150キログラム。単純計算では、新規則の施行後6年以内に再プラ含有量を22.5キログラムとし、このうち4.5キログラムを廃車由来再プラでまかなう必要がある。一見すると、決して非現実的ではない数値のようにも映る。
一方で、各メーカーが仕向け地ごとに分かれていた設計開発や調達を共通化する中、影響は欧州向け車種だけではなく、車両コスト抑制への要求が強い国内向け量販車種にも及ぶ。早ければ年内に欧州規則が施行される可能性もあるだけに、国内でも対策は急務だ。
(内田 智)























