公正取引委員会は12月16日、電動工具大手のマキタが下請け事業者84社に金型3214個を長期間にわたり無償で保管させていたとして、同社に対し再発防止を求める勧告を出した。
公取委によると、マキタは自社が所有する金型を下請け事業者に貸与していたが、少なくとも2014年1月から25年9月末までの間、貸与した金型を使って製造する部品を長期間発注しないにもかかわらず、無償で保管させたという。事案は中部経済産業局による調査で判明した。マキタはこのような状況が生じた理由について、下請け事業者から請求の申し出があれば対応する方針だったという。
マキタは今年9月末までに金型の保管に関する覚書を下請け事業者と締結。10月以降に発生する金型の保管費用を支払うことで合意した。また、下請け事業者から請求書を受け取り、10月20日までに計2616万5689円を支払った。
公取委中部事務所の加瀬川晃啓総務管理官は16日に名古屋市で記者会見し、下請法(下請代金支払遅延等防止法)第7条第3項に基づく勧告の件数が25年度は25件に上り、過去最多となっていることを報告。金型の無償保管が対象となるケースも多く、マキタの対応については「これだけ多くの(事例が)公表されている中、下請法に対する認識が不足していたのでは」と述べた。他の企業に対しても「経営トップのリーダーシップのもとで金型の保管状況を把握し、違反行為があれば自発的に申し出てほしい」と呼び掛けた。

















