ジャパンモビリティショー2025 見どころ紹介(3)クルマ好きが気になる四輪車(1)

  • クルマ文化・モータースポーツ
  • 2025年11月3日

前回から名称を一新した「ジャパンモビリティショー(JMS)」が東京ビッグサイトで開幕した。会場では自動車メーカー各社の最新モデルの展示をはじめ、未来のモビリティ体験、スタートアップによる新技術の提案、さらに歴史やカルチャーにフォーカスした企画など、見どころは尽きない。

注目を集める今年のJMSを、日刊自動車新聞電子版の編集メンバーが独自の視点で気になるポイントを紹介する。

「いくっしょ、モビショー!」。会期は11月9日まで。

 

「東京モーターショー」から名称変更して2回目となる今回のJMS。前回同様に“クルマ”にとらわれないさまざまなモビリティの形が提案されている。でも、大丈夫。今回もこれまでモーターショーに毎回足を運んできたクルマ好きが気になるような展示が目白押しだ。特に今回のJMSは近未来を打ち出していることもあり、実際に展示されている車両も、そう遠くない将来に発売されそうなモデルが多い。クルマ好きにとっては、これまで以上にリアリティーのあるショーともいえそうだ。

 

ブランドを再定義するトヨタ

「中央ゲート」から入場して、正面にある「西ホール」のさらに奥の「南ホール」に構えるのがトヨタ自動車のブース。フロア全体がトヨタグループのブランドで占拠しており、まさに“トヨタ館”といった様相だ。

南ホールに入ると、トヨタの原点ともいえる「AA型乗用車」「G1型トラック」「G型自動織機」が並んでいる。JMSに対するトヨタの意気込みが感じられる。これらはトヨタ博物館(愛知県長久手市)などでしか見ることができないだけに、せっかくJMSに来たのなら、しっかりチェックしたい。

トヨタは今回のJMSに合わせて、ブランドの再定義を打ち出した。「トヨタ」「レクサス」「センチュリー」「ダイハツ」と4つのブランドのキャラクターを明確にし、南ホールではそれぞれのブースを展開している。

トヨタブースでは、「TO YOU TOYOTA」をスローガンに、多くの人々や社会を対象とした幅広いモビリティを提案している。具体的には、トヨタのグローバルスタンダードである「カローラ」の未来像をイメージした「カローラコンセプト」や、次期「ハイエース」の予告ともいえる「ハイエースコンセプト」、まもなく発売される新型「RAV4」などが展示されている。

その中でも注目を集めそうなのが、「ランドクルーザーFJ」だ。2026年半ばに発売を予定するランクルシリーズの最小モデルで、他のランクルに比べて、デザイン、サイズ、価格などすべてがカジュアルで身近な存在。ヒットモデルになりそうな予感だ。他のランクルとは異なり、プラットフォームは新興国を中心に展開する「IMV」を使用。パワートレインは2.7リットルガソリンエンジンに6速ATを組み合わせる。さまざまなカスタマイズにも対応するという。

 

LSが6輪ミニバンに…

レクサスブースでの今回の目玉が、六輪車のミニバン「LSコンセプト」。レクサスを代表するフラッグシップセダンのLSがミニバンで現れたのは、インパクト抜群だ。「セルシオ」時代からトヨタのフラッグシップセダンとしてあこがれを持つ世代にとっては、複雑な心境かもしれない…。

とはいえ、現在は、国内でもショーファー需要の多くが「アルファード」など上級ミニバンに移行しているほか、中国でも上級ミニバン市場が激戦区となっている。さらに、LSの主力市場の北米では、26年モデルでLSの販売を終了するなど、上級セダン市場が縮小しているのは事実であり、LSの今後のあり方を模索するのも当然ともいえる。

一方で今回のJMSでは、4ドアクーペの「LSクーペコンセプト」も出展している。次期LSがどうなるか、その答えが出るのはまだしばらくかかりそうだ。

レクサスでクルマ好きから注目を集めそうなのが、ワイド&ローなスーパースポーツ「スポーツコンセプト」だ。今年8月に米国で世界初公開したモデルで、シャープで洗練されたバランスの良いデザインは、どこから見ても素直に“カッコいい”と思えるもの。スペックなど詳細は不明ながら、展示されるコンセプトは市販が近そうな完成度だった。

最上級の新ブランドとして展開するのがセンチュリーだ。JMSでは、オレンジ色のクーペのコンセプトモデルを初公開した。贅沢なパーソナルクーペという存在は、ロールス・ロイスやベントレーなどでもラインアップしており、旧来のクルマ好きにとっては、LSのミニバンよりも違和感は少ないともいえる。

また、センチュリーブースには、初代センチュリーも展示してある。懐かしさとともに、全長5m超でも今見ると小さく見えるのは、近年のクルマより全高が低いためだろう。

 

コペンがFR?

ダイハツブースでは、「ミゼットX」や「K-ビジョン」、「K-OPEN」などを公開している。併せて現行「コペン」をベースに、クローズドルーフと後輪駆動に改造した「K-OPENランニングプロト」も展示した。

ランニングプロトは、縦置きのパワートレインを「ハイゼット」から流用し、ハイゼット同様にエンジンを大きく寝かせて搭載することで重心を下げている。コンセプトモデルのK-OPENもフロントミッドシップのような後輪駆動のプロポーションを採用している。ダイハツはコペンについて、26年8月末での生産終了を発表するとともに、次期モデルの開発は継続するとしており、クルマ好きから注目を集めそうだ。

軽ハイトワゴンのコンセプトであるK-ビジョンは、自社で新開発したハイブリッドシステムを搭載した。全高は1680mmと「ムーヴ」程度ながら、「タント」で定番のピラーレスの「ミラクルオープンドア」を採用している。どのモデルのデザインスタディーとなるのかは未定だ。

愛くるしいデザインのミゼットXは、オート三輪の初代「ミゼット」をモチーフとした小型モビリティのコンセプトカー。とはいえ、過去に1人乗りの軽トラック「ミゼットII」を市販化したダイハツだけに、実際に街中を走る姿を見かける日がくるかもしれない。

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