韓国・現代(ヒョンデ)自動車グループのKia(キア)は6日、モジュール構想を取り入れた新型電気自動車(EV)シリーズ「プラットフォーム・ビヨンド・ビークル(PBV)」について、日本市場を含む最新の事業計画を明らかにした。2030年時点で世界25万台の販売を目指す。内訳は今年発売の中型バンタイプ(PV5)で13万5千台、今後発売する2車種(PV7とPV9)で11万5千台を見込む。日本ではPV5を売り出し、26年に1千台、27年に2千台を目指す。価格は今月下旬に発表する。
主要国のメディアを集めたイベントを先週、ソウルの本社などで開いた。宋虎聲(ソン・ホソン)社長(最高経営責任者=CEO)は「商用を中心にしたEVは未開拓の市場。2月にコンセプトを発表して以来、好評を得ている」と手応えを語った。
起亜自動車からブランドを「キア」に刷新した同社は、ヒョンデグループとして研究開発などは共通で進めているものの、独自の商品を展開する。特にPBVは次の事業の柱として力を入れている。
短期的にはまず、多様な車種の展開で浸透を図る。物流関連の需要が中心になるとみつつ、旅客やキャンピングカーなどの用途を見込む。今年発売のPV5は「欧州市場などの反応も好調」(同社幹部)といい、30年時点で全体の5割強を占めるとみる。
日本市場への浸透策としては、販売代理を担う双日が今年立ち上げた子会社を中心に展開する。「ジャパンモビリティショー(JMS)2025」にも出展し、車両を紹介するとともに、価格も発表する。
同社は、PBVの戦略を3段階で描く。第1段階では、PV5で用途に応じてモジュールを入れ替えたり最適化したりできる「コンバージョン機能」を備えた車両設計を導入。配送やライドシェア、貨物輸送など、多様なモジュールを適用できる柔軟性を持たせる。ソフトウエア戦略では、グループの「SDx(ソフトウエア・デファインド・エブリシング)戦略」と連携し、車両運用や配車ルート、配送情報などを一元的に制御・管理できる技術群をグローバルで開発する。
第2段階では、PBVのラインアップを拡充。大型タイプ(PV7)や小型タイプ(PV1)の導入も目指し、物流や旅客事業者、さらには個人用を含めた領域への浸透を図る。ソリューション・データ事業化にも力を入れる。人工知能(AI)を取り入れつつ、ロボティクスや自律走行、都市インフラとの統合も視野に入れる。
第3段階では、PBVが移動手段から「ライフプラットフォーム(生活基盤)」へと進化させる構想を掲げる。自動運転技術をスマートシティーの一部に組み込み、人、PBV、社会インフラがシームレスにつながるネットワークを目指し、さらに、エネルギーグリッド(電力インフラ)などの融合や、〝空飛ぶクルマ〟などとの連携も図っていくという。


















