ホンダユーテック(久野孝之社長、埼玉県和光市)は2025年度、ホンダの系列ディーラー向けに行っている中古車の商品化サービスの取り扱い台数を1万台に倍増する。ホンダオートオークション(ホンダAA)の全国6会場で引き受けており、本格的に事業を始めた24年度は約5千台をこなしていた。一部の作業を委託している協力会社を増やすなどし、受け入れ能力を高める。メーカーは国内事業で、中古車小売りを強化する方針を掲げている。これを担っていくディーラー各社の業務支援につなげることで、中古車市場でのホンダシェアの拡大につなげる考えだ。
同サービスは販売店の下取り車などをホンダユーテックが商品化し、中古車情報サイトへの掲載を代行するもの。試験的に取り扱いを始めた23年度は数百台程度だったが、足元で大きく規模が拡大している。同社によると、本来商品化の作業に追われているディーラーの業務負担が軽減できたほか、中古車サイトへの掲載までのリードタイムの短縮につながったことから、サービスを活用したディーラーからの反応が上々だったという。このため、まだ入庫を増やせる余地があると判断した。
これに向け、実際に作業を行っているホンダAAの各会場で商品化機能の強化を急ぐ。各会場では外装を磨くなどし、商品価値を高めているが、一部の作業を外部に委託している。この外注先を増やし、前年よりも増える入庫車両に対応する。商品化する車両を保管するスペースも広げる必要があるため、各会場の施設状況を踏まえながら保管場所を確保していく。また、前年度にほぼ完成したディーラーとの受発注システムも改良を続け、使いやすい環境を整えていく計画だ。
ホンダは30年度までに、系列ディーラーの中古車販売台数を現在の5割増に当たる30万台に増やす考え。ディーラー各社も中古車事業を収益の柱の一つに据えている。ただ、販売や整備の現場では人手不足が深刻になっており、思うようにボリュームを増やしにくいことが想定される。スタッフの負担を軽減するホンダユーテックのサービスの活用を検討するディーラーは、増えそうだ。