昨年入社した新入社員は間もなく一年を迎え、数カ月後には先輩社員となる日が近づいてきてきました。この一年でさまざまな経験をしたはずです。商談がうまくいかなかった日、他のスタッフの数字がまぶしく見えた日、SNS(会員制交流サイト)を見ると同世代が楽しそうに見える日。入社前に抱いていた華やかなイメージとは違い、地道な活動、結果が出るまでに時間がかかる仕事だと気付いたことだと思います。
特に若手のうちは、商品知識が足りない。クルマ以外の話が続かない。金額の話ばかりになってしまうといった不安を抱えることが多いです。しかし、実際お客さまが見ているのは、知識量の多さよりも、自分に向き合ってくれているかどうかという姿勢だったりするものなのです。完璧な説明より、正直なひと言や素早い確認。ベタなセールストークより、相手の話を最後まで聞く力。その積み重ねが信頼となります。
若手が持つ武器を整理してみよう。今の若い世代は、モノを売り込まれることに慣れていないです。自分自身も、強く勧められると一歩引いてしまう感覚があると思います。だからこそ、同世代のお客さまには、売るというよりも、一緒に選ぶというスタンスが好まれます。性能ではなく使い方。値引きではなく価値。自分がお客さま目線に近いこと自体が武器となります。
もう一つ、若手ならではの武器があります。動画での車両説明やSNSでの情報発信。オンライン商談やチャットによる対応。このような新しいお客さまとの接点はベテランよりも自然に使いこなすことができます。来店を待つだけの営業ではなく、お客さまとのつながりをつくりにいくスタイルは、今後確実に主流となります。
自動車販売という仕事は、ただの販売ではありません。お客さまの生活の一部を任せてもらう仕事です。移動時間、趣味への時間、家族との思い出。その入り口に立っているのです。
焦る必要はありません。最初からトップセールスパーソンである必要もありません。昨日より一つ多く質問できた。今日は昨日より少し長くお客さまと話せた。そのくらいでいいのです。続けた人から伸びます。若さは経験不足ではなく、伸びしろそのものです。吸収力、行動力、変化への適応力という最強の武器を遠慮なく前に出してみて下さい。若さは期間限定のアドバンテージです。挑戦できる量も、失敗できる数も今が最大値。使い切った人から強くなります。
文:株式会社プログレス 江原忠宏
〈プロフィル〉えはら・ただひろ 2006年東海大学電子情報学部卒、同年国産ディーラー入社。営業職、店長を務めるも、17年5月輸入車ディーラーに転職。入社2年目に係長昇進、3年連続で販売優秀者表彰。その後人材育成にやりがいを見出し、20年プログレス入社。「人材を『人財』に」をテーマに活動中。静岡県出身、42歳。



















