公取委、三菱ふそうに下請法の再発防止を勧告 下請け61社が金型を無償保管

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  • 2025年11月14日

 下請け企業に金型を無償で保管させたとして、公正取引委員会(公取委)は13日、三菱ふそうトラック・バスに対して、下請代金支払遅延等防止法(下請法)に基づき再発防止を勧告した。完成車・車体メーカーが金型の無償保管で勧告を受けるのは、トヨタ自動車東日本(TMEJ、石川洋之社長、宮城県大衡村)に続き2社目となる。

 公取委の勧告は、違法行為の取り止めや再発防止などを求める行政処分の一つ。

 三菱ふそうは、ある部品が量産品から補給品に切り替わる際、金型の保管費用に関して下請け企業と協議を行わずに保管を求めていた。公取委によると、三菱ふそう側は切り替えの際に単価の値上げをしており、その値上げ分に保管費用を含んでいる、という認識だったという。

 金型の無償保管期間は2024年3月1日からで、該当の下請け企業は61社あった。併せて公取委は三菱ふそうに金型費用の支払遅延に対する指導も行った。支払遅延の期間は24年1~12月で、該当の下請け企業は6社に上った。三菱ふそうは10月31日までに下請け企業21社に対し、約3072万円を返金した。

 今回の事例は、経済産業省関東経済産業局の調査によって発覚。中小企業庁が公取委に措置請求を行った。これまでに認定された金型の無償保管事案26件の中で、保管数、該当の下請け企業数ともに、6番目の規模となった。

 公取委の担当者は「自動車メーカーはサプライチェーン(供給網)の頂点に位置する。影響が波及することを踏まえると、極めて遺憾な事案だ」と語った。

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