特定小型原付、保有増確実で広がる波及効果 再販・修理需要や交通網の空白補完

 電動キックボードなどの特定小型原動機付自転車(特定小型原付)の普及が進みそうだ。総務省の「市町村税課税状況等の調」によると、2024年4月1日時点の保有台数は2万2321台。25年のデータはまだ明らかにされていないが、総務省の自動車税制企画室によると、「保有が伸びているとみられる」と分析している。足元でも特定小型原付の市場に新規参入する事業者も目立っている。顧客の選択肢が広がればさらに市場が活性化し、26年の数値も上振れしそう。保有の増加とともに、アフター関連でビジネスチャンスも広がりそうだ。

 特定小型原付の制度は23年7月にスタートしており、総務省が公表している24年4月1日時点のデータは事実上、初年度の保有台数を表す。

 これ以降も、保有は大きく積み上がっているとみられる。特定小型原付のメーカーや取り扱い事業者で組織する日本電動モビリティ推進協会(JEMPA)がまとめた加盟企業の販売台数は、24年に1万855台(前年は7~12月で5130台)だった。JEMPAに非加盟のメーカーも多く、実際の特定小型原付の販売台数はさらに膨らんだのは間違いない。今後、総務省が公表する25年4月1日時点の保有台数でも大幅に伸長する公算が大きい。

 特定小型原付は、運転免許が不要な利便性の高さが支持されている。シェアリングサービスでの導入も増えており、業界大手のLuup(ループ、岡井大輝社長、東京都品川区)は現在、特定小型原付に該当する電動キックボードや電動アシスト自転車を約3万台運用している。この約半数が電動キックボードで、特定小型原付の保有増に貢献した。

 加えて、今年9月には、パナソニックサイクルテック(稲毛敏明社長、大阪府柏原市)が自転車型の特定小型原付を12月に発売すると発表。自転車店を中心とした約1万店の販売網を生かし、シェア拡大を狙う。三輪の電動キックボードを手掛けるストリーモ(森庸太朗代表、東京都墨田区)も、10月に全国のホンダ系列のディーラー6社79拠点を通じた販売を開始した。実車の展示や試乗機会を提供することで、商機につなげる考えだ。

 各社の参入など特定小型原付をめぐっては明るい話題が相次いでおり、中でもパナソニックサイクルテックは、今年度内に2300台の販売を目指しており、実現すれば保有にも効いてくる。稲毛社長は「将来的に販売台数が年間、数万台規模になるポテンシャルがある」と見立てており、さらにボリュームが拡大する可能性もありそうだ。

 保有が膨らめば、さまざまな分野への波及効果も見込める。現状では都市部の若年層を中心に利用が広がっているが、公共交通機関の衰退が進む地方で、交通網の空白を補完する機能も見込める。また、普及が進めば、車両の再販や修理需要も予測され、アフター関連の新たなビジネスの創出にもつながる。加えて、特定原付は毎年4月1日時点の所有者から、軽自動車税(種別割)を徴収している。標準税率は2千円で、保有台数が増えれば自治体の税収にもプラスとなる。

 特定小型原付は、23年7月の改正道路交通法の施行で定義された。従来は通常の原動機付自転車(原付)扱いで、乗車には運転免許が必要だったが、新区分では緩和され、16歳以上であれば免許が不要となった。

(舩山 知彦)

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