〈ニュース知ったかぶり!?〉国が整備工場の生産性向上を支援? 人手不足で労働環境変革へ

 Q 政府が6月に「新しい資本主義実行計画」の改訂版を公表したね。これってどんな計画なの?

 A 2022年に、第2次岸田政権が打ち出した日本の成長戦略です。足元で続く物価高を踏まえ、「成長と分配の好循環」を生み出し、構造的な賃上げや労働市場の改善を進めることを目的としています。6月に公表された改訂版では、29年度までに物価上昇を年1%ほど上回る賃上げの定着を目標に掲げ、中小企業に対し、官民合わせて約60兆円の省力化投資を実行する方針を盛り込みました。併せて人手不足が深刻な12業種に対して生産性向上の目標値を掲げた「省力化促進プラン」も公表したのですが、このうちの一つが整備業となります。

 Q 整備業には具体的にどんな目標が与えられたの?

 A 29年度までに24年度比で25%の生産性向上を目指します。また、国内に約9万2千事業者ある認証工場に対しては、スキャンツール(外部故障診断機)の導入率を100%にする目標も示しました。今の導入率は7割未満にとどまっていますので、今後5年で持続的な経営を目指す整備事業者すべてでスキャンツールを用いた整備作業ができる環境を整えることになります。

 Q 簡単に達成できる目標ではないと思うんだけど、どうやって取り組んでいくの?

 A 省力化に繋がる領域として①システム導入による入庫・作業管理②スキャンツールによる故障探求の効率化③整備士の身体的負担軽減④検査の一部自動化⑤行政手続のオンライン化-を柱とし、企業に対して投資を促したり、補助金政策を打ち出していきます。デジタルシステムの活用と省力化設備の導入を両軸で進め、効率化を図っていく方針です。

 Q 具体的に整備事業者はどんな投資を行えば良いの?

 A 例えば車両の入庫管理ですが、手作業で行うと時間がかかりますし、口頭で指示することで伝達ミスが発生する可能性もあります。この作業を入庫・作業管理ソフトに代替して作業時間の短縮を図ります。また、作業環境が悪いと生産性も低下しますので、リフトやタイヤチェンジャー、門型洗車機など重作業の負担を軽減する整備機器を活用したり、冷暖房機器を導入して作業者の体調管理を行うことも重要となります。導入支援策として、政府はすでにスキャンツール補助金や中小企業省力化投資補助金などを手当てしていますが、29年度目標の達成に向け、今後も必要に応じて支援策を講じていく考えです。

 Q そもそも、政府はなぜ省力化支援を推し進めるの?

 A 最も大きな理由は人手不足です。整備士の育成を目的とした整備学校の入学者数は、この20年で半減しました。日本自動車整備振興会連合会(日整連、喜谷辰夫会長)によると、整備要員の平均年齢は47.4歳となり、この20年で7.5歳も上昇しています。整備士の高齢化が進んでおり、作業負担の増加が事業者の生産性低下に直結する状況にあります。また、整備士の労働環境は3K(きつい・汚い・危険)と言われることも多く、若い世代に選ばれるためにはこのイメージを変える必要があるのです。

 Q 整備士は、仕事の割に給料が安いとも言われるよね

 A はい。このため省力化促進プランでは、労働生産性を向上させ、整備士の賃上げに繋げることも目的としています。現在の整備要員の平均年収は約425万円です。厚生労働省が「年賃金構造基本統計調査」で公表している40歳代の平均年収(23年、企業規模10人以上)の約548万円と比べると、さらなる賃上げが必要なのが分かります。安全な車社会を実現するためにも、人への投資がこれまで以上に求められています。

 Q 車も進化しているから、整備環境のアップデートも必要だよね

 A 20年に始まった特定整備を行うには、スキャンツールの保有が条件となっています。また、今後、電気自動車(EV)や先進運転支援システム(ADAS)搭載車などが普及すれば、より高度な診断ができる整備士もさらに必要です。次世代車整備に対応できる環境を整えるためにも、整備工場の省力化投資は不可欠となります。

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