トヨタ自動車とスズキは8月28日、自動運転などの新しい領域で協力を推進するとともに、資本提携を締結することで合意したと発表した。トヨタはスズキに約5%出資し、スズキは480億円相当のトヨタ株式を取得する予定。トヨタとスズキは2017年2月に業務提携して以来、トヨタが得意のハイブリッド技術やスズキが強いインドでの事業などで協業を決めてきた。自動運転分野での競争が激化する中、トヨタとスズキは資本提携に踏み込んで長期的な関係構築に向けて一歩前進する。
トヨタはスズキが保有する自己株式のうち、2400万株を約960億円で取得する。出資比率は4.94%となる。スズキは市場買い付けでトヨタ株式を約480億円分取得する。海外の競争当局の承認が得られ次第、実施する予定。
トヨタとスズキは2017年2月に環境や安全技術などで業務提携することで合意。2019年3月には、トヨタのハイブリッドシステムをスズキへの供給や、インドでスズキの小型車をトヨタにOEM(相手先ブランドによる生産)供給などの商品の相互補完、MPVの共同開発など、協業拡大を検討することで合意し、関係を深めてきた。今回、自動運転分野を含めた新たなフィールドで協力するため、資本提携することにしたとしている。
自動車業界はCASE(コネクテッド・自動運転・シェアリング・電動化)によって大きな変革期を迎えている。特に自動運転技術に関しては、自動車メーカーだけでなく、グーグル(アルファベット)のウェイモなど、異業種の存在感が高まっており、自動車メーカー各社は生き残りをかけて開発に注力している。
トヨタは、CASEでライバルに勝つためには「仲間作り」が鍵になると見ている。巨額の研究開発費を投じて開発した自動運転技術を、資本提携したスズキに供給する。子会社のダイハツ工業、日野自動車や、資本提携しているスバル、マツダにスズキを加え、自動運転領域で主導権を確保する狙いがある。
一方の研究開発投資が限られるスズキは、自動運転領域では他社に出遅れており、この領域でトヨタとの提携では互いにメリットが得られる「Win-Win」の関係にはなりにくく、従来のような業務提携でカバーするのは難しい。資本提携に踏み込んで長期的、安定した関係構築が求められる。ただ、スズキは巨大自動車メーカーのフォルクスワーゲン(VW)が19.9%出資して「対等な関係」をうたって資本提携したものの、VWがスズキを子会社扱いしたことから関係が悪化、6年間費やして最終的に提携解消となった経験があるだけに、資本提携には慎重だ。トヨタと2年間、公平・平等の精神での業務提携が継続されていることもあって、出資比率を5%にとどめて資本提携に踏み切った模様だ。
自動運転技術を巡ってはVWがフォード・モーターと業務提携したほか、ホンダもゼネラルモーターズ(GM)と提携するなど、自動車メーカー同士の提携が加速しているほか、日産自動車・ルノーがグーグル傘下のウェイモと無人自動運転車サービスで提携するなど、異業種との連携も目立つ。

















