決算説明会に出席したイヴァン・エスピノーサ社長(左)とジェレミー・パパン執行役CFO

日産自動車は7月30日、2025年7~9月期の売上高が2兆8000億円、営業損益が1000億円の赤字を見込んでいると発表した。26年3月期通期の売上高予想額の12兆5000億円は据え置いたが、営業利益、純利益の公表は見送った。米国では関税影響により、通期で最大3000億円の影響を見込む。年間世界販売325万台の目標値も据え置いた。

25年4~6月期は、売上高が前年同期比9.7%減の2兆7069億600万円、営業損益は791億2400万円の赤字だった。期初想定の2000億円の赤字からは改善したものの、米国の追加関税が687億円の減益要因となった。純損益も1157億5800万円の赤字だった。

世界販売も同10.1%減の70万7000台と振るわなかった。国内販売も同11.1%減り、ジェレミー・パパン執行役CFO(最高財務責任者)は「軽自動車での競争の再燃と、日産に対する消費者の信頼低下によるものだ」と説明した。下期以降、新型車を各市場に投入し、業績の反転を目指す。

米国の関税影響は、日米政府が税率15%で合意したことを受けて、影響額も期初から1500億円減少となる最大3000億円を見込む。米国の生産拠点の活用などで関税影響の軽減を目指す。

日産は同日、メキシコの1工場の生産を25年度中に終了し、同国内の既存拠点に移管すると発表した。発表済みの追浜工場(神奈川県横須賀市)の27年度末での生産終了や、日産車体の湘南工場(同平塚市)への委託生産も26年度までに終了するなど、統廃合する世界7工場のうち5工場で目処がついたとする。

イヴァン・エスピノーサ社長は「経営再建計画は2カ年計画で、25年度は過渡期にあたる。効果を刈り取るには事業運営の枠組みを変える必要があり、収益に表れるまでには少し時間がかかる」と説明した。