大型二輪免許を取ったばかりのライダーや女性ライダー、ダウンサイジングを考え始めたベテランライダーなど、幅広い世代から注目を集めるミドル級の二輪車。並列4気筒エンジンに代表される〝重量級〟と比べ、スリムで軽い車体と軽快な乗り心地が身上だ。国内外メーカーともラインアップを拡充しており、選択の幅は広がっている。今回で10回目を迎えた日本自動車輸入組合(JAIA)の試乗会で、注目のモデルをピックアップしてみた。
ピアッジオグループジャパンが輸入販売するアプリリアはイタリアブランド。「RS457」は今年から本格販売を開始したニューモデルだ。排気量457ccのライトウエートスポーツで、最近では珍しいアルミフレームとあって非常に軽く、取り回しも良い。スポーツモデルながら日常の使い勝手も良さそうだ。ダウンサイジングを考えるベテランユーザーの需要を狙う。経験者だけにミドルサイズを十分に楽しめるからかもしれない。もちろん、初心者にとっても乗りやすいモデルだ。車両価格は85万8千円。
世界で最も歴史のあるオートバイメーカー、印ロイヤルエンフィールド。4月発売のモデルは、あらゆる路面にチャレンジするスクランブラーの「BEAR650」で、650cc空冷2気筒エンジンを搭載する。40~50歳代がターゲットだが、豊富なカラーリングで若いユーザーも狙う。女性ユーザーにとってもスタイリッシュで乗りやすいモデルだ。価格は99万円から。輸入元はピーシーアイ。
プロト(近藤芳光代表、愛知県刈谷市)が輸入元となるイタリアブランドのベネリは中国資本だ。イタリア市場で最量販車という「TRK502X」は、人気のアドベンチャーモデルの入門車という位置づけ。500ccの水冷並列2気筒エンジンを積み、国内では40~50歳代のユーザーが主なターゲット。扱いやすさからツーリングに最適だろう。プロトでは足つき性を改善するローダウンモデルを開発中だ。価格は96万8千円。
英トライアンフの「トライデント660」は、660ccの水冷3気筒エンジンを搭載するロードスターモデル。マイナーチェンジでシフト操作が容易なクイックシフターを装着するなどした。200㌔㌘を下回る車重とトルクフルながら扱いやすい出力特性(最高出力81馬力)で、あらゆるシーンで走りを楽しめる。ターゲットは大型初心者やリターンライダー。ツーリング用にも最適だ。価格は99万5千円。輸入元はトライアンフモーターサイクルズジャパン。
水冷単気筒の659ccエンジンで77.5馬力を誇る伊ドゥカティ「ハイパーモタード698モノ」。オフロードモデルをサーキット走行に対応させたモタードモデルだ。伝統のデスモドロミック・バルブ駆動システムを搭載、ファンには見逃せない一台となっている。二輪の基本に立ち返ったような軽量・ハイパワーが最大の魅力だ。日本向けはローダウン仕様として、若年層を中心にアピールする。価格は177万8千円。輸入元はドゥカティジャパン。
独BMW「F900R」は、足回りの軽量化により走行性能を高めたロードスターモデル。オールラウンドの性能が魅力だ。幅広いユーザーにアプローチし、女性ユーザーに対してもBMWの魅力をこのモデルで伝えていく役割を担う。とはいえ894ccの水冷並列2気筒エンジンは、105馬力のパワーを発揮するので侮れない。価格は127万9千円。輸入元はビー・エム・ダブリュー。
インディアンの「スカウトシックスティボバー」は、質実剛健と言ってもいいボバースタイルが魅力で、999ccの水冷V型2気筒エンジンを搭載する。インディアンのエントリーモデルとして今春から発売した。国産の同タイプとほぼ同等という価格も魅力で、初めて大型二輪免許を取得したユーザーにアピールしていく。ダイヤモンド式フレームに搭載するエンジンは低重心で取り回しもしやすい。その一方で、優れたコーナリング性能も確保している。価格は169万円(消費税込み)。輸入元はポラリスジャパン。
(村上 祐司)