EVの販売低迷で規制見直しを余儀なくされている(VWのID.3)
欧州連合(EU)の欧州委員会は、2025年に基準を引き上げた二酸化炭素(CO2)排出の規制を緩和すると4日までに発表した。25年と26年は単年での達成義務を免除し、25~27年の3年間の平均で自動車メーカー各社に目標値を課す。電気自動車(EV)の販売低迷や欧州自動車メーカーの業績悪化などを踏まえ、規制の見直しを余儀なくされた格好だ。
規制値は変更しないが、3年間の猶予期間を設ける。5日に発表する「自動車産業向けの行動計画」に盛り込む。フォン・デア・ライエン委員長は「技術中立性を求める利害関係者の声に耳を傾ける必要がある」と語った。
欧州の企業平均燃費(CAFE)規制は基準値を1㌘超過するごとに販売台数1台当たり95ユーロ(約1万5千円)の罰金を支払う必要がある。25年から、21年の基準と比べて約15%低い水準に厳格化された。規制を厳しくすることで走行時にCO2を排出しないEVシフトを促す狙いだった。
一方、24年の欧州のEV販売は前年比1.3%減の199万3102台と18年以降で初めて減少に転じた。EV市場が低迷する中、罰金やCO2排出権の購入といった規制対応コストの大幅な上昇が「自動車産業の競争力を低下させる」などとして業界団体が規制緩和を求めていた。