マツダは14日、タイで小型SUVのハイブリッド車(HV)を2027年から生産すると発表した。50億バーツ(約226億円)を投資し、年間10万台を生産できるようにする。タイにはこの小型SUVを含め、電気自動車(EV)「マツダ6e」など5車種を投入する。現地販売をテコ入れしつつ、日本を含めたアジア地域への輸出機能をタイで整えていく。
同日、バンコクで中長期の事業計画や「ブランド価値経営」に関する会見を開いた。タイ工場「オートアライアンス(タイランド)」を改修したり、電池の現地調達を進めるなどして、年産10万台規模の「電動小型SUV製造ハブ」を整備していく。
タイ市場では、現地生産するBセグメントのSUVなどHV2車種、マツダ6eなどEV2車種、プラグインハイブリッド車(PHV)1車種を27年までに売り出す。HVは同社独自のシステムと見られるが、次期型「CX―5」に搭載されるシステムとは異なるという。
タイ政府は、30年までに国内生産車の3割をゼロエミッション車とする方針で、この政策を追い風に中国メーカーがEVなどで攻勢をかけている。
ただ、足元の新車市場は家計債務比率の高まりに伴うローン審査の厳格化などで低迷している。マツダのタイ販売も24年4~12月期は前年同期比44%減と苦戦中だ。
マツダは、25~27年を電動化への移行に向けた3段階の「第2フェーズ」と位置づける。多様な電動パワートレインで各地の需要と規制に対応するとともに、タイを輸出拠点として活用することで工場の稼働率を高めていく。
毛籠勝弘社長は「地元サプライヤーとの協力関係を強化し、技術移転を促進する。高品質な電動化車両生産のための強固な基盤を確立していく」と語った。