トヨタ自動車は12日、2025年度上期(4~9月)も仕入れ先への支援を継続する方針を明らかにした。材料費やエネルギー費、物流費が増えた分を取引価格に反映させる。中小企業の厳しい経営環境を踏まえ、労務費増や職場改善などへの投資分を取引価格に反映する「人への投資」では、ティア2(二次部品メーカー)以降への浸透に力を入れる。量産終了後の補修用部品価格の見直しや、カーボンニュートラル(温室効果ガス排出実質ゼロ)への対応費といった支援も加えていく。
労務費や職場改善分を仕入れ価格に反映するのは、今回で2年目となる。同社は年2回、仕入れ先に対して価格改定を実施している。仕入れ先と協力して原価低減活動に取り組む結果として、1%未満の範囲内で仕入れ価格の引き下げを求めてきた。ただ、足元の物価や人件費増などの環境を踏まえ、従来から中小企業の価格改定を除外してきたほか、24年度下期(24年10月~25年3月)には、価格改定を据え置く対象をティア1(一次部品メーカー)にまで広げていた。
上期もこうした方針を継続するとともに、サプライチェーン(供給網)全体へ適正取引を浸透させるため、ティア1から課題を聞き取るとともに、ティア2以降に対する取り組みの浸透を呼び掛ける。トヨタ側から文書を出すほか、具体的なコスト上昇分を試算し、ティア1に示すとともに、試算を上回る要望に対しても協議のうえで個別に判断する。補給品の取引価格を見直したり、再生可能エネルギーやグリーンアルミニウムといった脱炭素に関わる投資費用を負担するなどの取り組みも始める。トータルでの値上げ分は前回より大きくなるという。
産業全体の競争力を高めるため、品質に影響しない工程の削減や生産性向上につながる活動については日本自動車工業会や日本自動車部品工業会とも連携していく。熊倉和生調達本部長は「労働組合とも意見交換し、ティアの深いところがどうなっているのかの情報をもらっている。型の保管費用など、困りごとの声を一つずつ丁寧に受け止め、対応していく」と語った。
(2025/2/18更新)