パナソニックホールディングス(HD)は2月4日、「グループ経営改革」を発表した。組織やコスト構造を抜本的に再構築し、グループ全体最適での業務・リソースの集約を図り、ソリューション事業を強化する。白物家電などを手掛ける「パナソニック株式会社」を発展的に解消するほか、車載電池の成長シナリオの見直しも打ち出した。固定費削減へ早期退職も募集する方針だ。

楠見雄規グループCEO(最高経営責任者)らがオンラインで会見した。

経営の現状として、各事業の「競争力・収益性」と「間接コスト」ともに課題があるとした。重点投資領域についても、車載電池が電気自動車(EV)の需要鈍化で収益力確保が課題になるなどと説明し、各事業会社の成長投資が収益で結果を出せていないと反省を述べた。

課題を分析した上で、低収益事業の見極めが必要と判断。低収益の「課題事業」として、産業デバイス、メカトロニクス、キッチンアプライアンス、テレビ事業を挙げた。「グループ外に出す覚悟もある」(楠見CEO)とした。また「再建事業」として、空質空調などを挙げた。

見直しの一環で、HD傘下で祖業にあたる白物家電などを手掛ける「パナソニック」を発展的に解消し、傘下の分社(空質空調社など)を事業会社化。家電事業は市場に集中して向き合うために、グループの家電事業を集約した事業会社を設立し再建を目指す。国内間接部門の業務効率化やスリム化、日中連携、固定費削減などを図る。楠見CEOは「パナソニック株式会社という名前を残すかどうかを含め検討する」と考えを示した。

車載電池について、楠見CEOは「EV市場は鈍化はしたが成長はしていく。私たちはカーメーカーと握った範囲で電池に投資していく。当社としての新規の投資はなだらかになる」とした。

2025年度は経営改革に集中する。固定費構造改革や収益改善、雇用構造改革、間接・販売部門を中心としたDX による生産性向上・固定費削減などを通じ、26年度までに1500億円以上、28年度までさらに1500億円以上、計3000億円以上の収益改善効果を目指す。

今後の姿として、注力する「ソリューション領域」と、それを支える収益基盤としての「デバイス領域」「スマートライフ領域」を設定。ソリューション領域では、顧客起点のマネジメントでシナジーを創出し、グループの成長をけん引する。デバイス領域では、商品ポートフォリオの絞り込みにより材料・プロセス系の事業に集中する。その一環で車載電池は成長シナリオを見直し、収益化に集中する。

スマートライフ領域では、家電事業の再建に向け、抜本的に事業構造や体制を見直し、開発・製造・販売のリソース適正化を徹底する。