2024年の自動車整備事業者に対する行政処分件数がここ10年で最多となる248件だったことが明らかになった。件数ベースでは前年より71件増えた。不正車検などを起こした旧ビッグモーター(BM)に対する処分が増加の理由で、全体の約6割を占めた。国交省はガイドラインの作成や行政処分基準の見直しなどを通じ、不正の再発防止や業界の信頼回復につなげていく考え。
国交省の「ネガティブ情報等検索サイト」を基に、自動車整備事業者の行政処分情報と件数を集計した。
道路運送車両法に基づく最も重い行政処分である「指定取消」の件数は、前年比7件増の34件だった。このうち24件が旧BMの事業場に対するものだ。
「事業停止」は同44件増の96件と大幅に増え、旧BMの事業場が67件と約7割を占めた。また、ディーラー17件のうち13件は、取引先のリース会社に整備作業の過剰請求を行ったディーラー1社に対するものだ。このディーラーは、対象の13事業場が10日間の事業停止処分を受けた。監査などで不正行為が認められた自動車検査員に対する「解任命令」は、同3件減の34件と前年並みで推移した。旧BMに関しては24年が18件、23年も17件あった。旧BMは2年連続で多数の自動車検査員が解任された格好で、改めて問題の深刻さがうかがえる。
この旧BMを筆頭に、ここ数年は不適切な点検や車検問題が相次ぎメディアで報じられた。自動車整備業の信頼失墜につながりかねないと見て、国交省は「車体整備事業者に対する透明性確保に向けたガイドライン」をまとめたほか、整備事業者に対する監査の拡充や行政処分の見直しなどにも踏み切る。一連の取り組みを通じ、車体を含む自動車整備業の信頼回復につなげていく。