経済産業省は、次世代の太陽電池として期待される「ペロブスカイト太陽電池」について、2040年に20㌐(㌐は10億)㍗導入する目標を26日に開催した官民協議会で示した。ペロブスカイト太陽電池は薄くて軽く、折り曲げることも可能で、ビルの壁面や自動車のルーフなど場所を選ばず設置できる利点がある。経産省は官民協議会を経て24年度内に見直す「エネルギー基本計画」にもこの目標を反映させる考え。
20㌐㍗の発電量は、一般家庭550万世帯分に当たる。26日に開催した「次世代型太陽電池の導入拡大及び産業競争力強化に向けた官民協議会」で示した。海外展開も視野に入れ、25年から国内市場を立ち上げ、30年からは国内に広く展開するとともに海外市場にも展開していく。40年からは国内に20㌐㍗、海外に500㌐㍗を導入する。
既存のシリコン太陽電池に比べ発電コストがかかるため、25年に20円/㌔㍗時、30年に14円/㌔㍗時を達成するための量産技術の確立を目指す。グリーンイノベーション(GI)基金の「次世代型太陽電池の開発プロジェクト」(648億円)で技術開発を支援する。さまざまな設置形態での社会実装を念頭にユーザーと連携した実証も進める。
23年度の日本の電源に占める太陽光の割合は9.8%(965億㌔㍗時)で、現行のエネルギー基本計画では30年度に14~16%程度(1290~1460億㌔㍗時)に引き上げる目標を持つ。40年度の電源構成を示す新たな基本計画では、ペロブスカイト太陽電池の普及も見込んだ計画が示される見通しだ。
ペロブスカイト太陽電池は、有機アンモニウム、鉛、ヨウ素といった3種類のイオンがペロブスカイト結晶構造で配列する材料を使った太陽電池の総称で日本発の技術でもある。世界的にも開発競争が激化しており、24年11月時点で発電効率は26.7%まで向上している。
原材料のヨウ素は日本が世界第2位(シェア30%)の産出量があり、サプライチェーン(供給網)の構築やエネルギーの安定供給の面でも有利とされている。自動車業界ではアイシンが生産技術を開発しているほか、シャープは電気自動車(EV)のコンセプト車にペロブスカイト太陽電池を搭載するなど、ルーフパネルなど車載用途も期待されている。