デンソーは9日、大規模統合電子制御ユニット(ECU)を生産する工場を愛知県西尾市に新設すると発表した。ソフトウエアの更新で車両の性能向上や機能追加を実現するソフトウエア・デファインド・ビークル(SDV)に欠かせない大規模統合ECUを生産する。デジタル技術を活用し、自動化による24時間稼働を目指す。工場建設に約690億円を投じ、2028年度上期から稼働させる予定だ。

 デンソーが大規模統合ECUを生産する工場を建設するのは初めて。電子制御式ディーゼル・ガソリン燃料噴射装置を製造する善明製作所(愛知県西尾市)の敷地を拡張し、25年度上期に着工する。新工場の敷地面積は51万平方㍍、工場面積は5万6千平方㍍。

 新工場では、高度運転支援システム(ADAS)制御用ECUをはじめ、SDVや電動車に必要な車の各機能を横断的に制御する大規模統合ECUの生産を担う。部品や生産設備の標準化を進めることで多品種生産を実現する「フレキシブル生産システム」を導入する計画だ。仮想現実に工場を再現する「デジタルツイン技術」によって事前検証を行い、効率的な生産システムを構築する。

 各工程を無人化することで24時間稼働を目指す。工場内はカメラやセンサーで常時監視し、生産停止の予兆を検知して遠隔で状況を判断できるようにし、設備の稼働停止を防ぐ。生産ラインだけでなく、部品の荷下ろしから工場内での搬送、製品出荷の梱包なども自動化することで無人化を実現する。