ステランティスは、2021年に仏グループPSAと伊・米のフィアット・クライスラー・オートモービルズ(FCA)が合併してできた自動車メーカーです。「フィアット」「シトロエン」などの大衆車から「ジープ」「アルファロメオ」「マセラティ」など実に14ブランドを持ちます。2023年の世界販売は約594万台(前年比4.9%増)で、トヨタ自動車、フォルクスワーゲン(VW)、現代自動車、日産・ルノー・三菱自動車に次ぐ5番手です。社名の「ステランティス」はラテン語で「星で輝く」を意味する「ステロ」が由来となっています。

 もともとFCAは北米や中米、PSAは欧州に強く、地理的には補完関係にあります。ただ、アジア地域や中国は両社とも未開拓で、ジープ車を生産していた広州汽車集団との中国合弁事業も22年に解消してしまいました。ただ、中国の新興電気自動車(EV)メーカー、零跑汽車(リープモーター)との合弁会社を設け、欧州でリープモーター製のEVを販売します。

 日本法人のステランティスジャパンは22年3月に発足しました。日本ではジープが売れ筋で、23年は約1万2千台を売りました。その他のブランドはプジョー(約8千台)、シトロエン(約5千台)、アルファロメオ(約1700台)、マセラティ(約1700台)といった具合です。

 電動化戦略では、30年までに75車種以上のEVを投入、世界で500万台の販売を目指しています。24年には18車種のEVを発売する計画です。また、EVの交換式バッテリーでは電池交換サービスを手がける米アンプルと組むほか、水素関連では仏フォルヴィアとミシュランとともに合弁会社シンビオを設立し、燃料電池(FC)システムの工場「シンフォニー」も設けました。30年までに新車販売における電動車比率を欧州で100%、米国で50%にすることを目指します。