国土交通省は6月3日、トヨタ自動車やホンダなど5社から「型式指定の申請時に不正行為があった」との報告を受けたと発表した。いずれも虚偽データを提出したり、試験車両に不正な加工を施すなどしていた。国交省は該当する現行生産車の出荷を見合わせるよう指示し、5社を立ち入り検査する。現時点で国交省から出荷停止を指示されたのはトヨタ、マツダ、ヤマハ発動機の3社合わせて6車種。同省が基準適合性を確認するまで、出荷が止まることになる。

ダイハツ工業や日野自動車などの認証不正を踏まえ、国土交通省は自動車メーカーやインポーター(輸入業者)、装置メーカーなど合わせて85社に同様の不正がないかを調査し、同省に報告するよう求めていた。報告期限は今週末だが、すでに8割に当たる68社が調査を終えた。

この結果、5月末の時点で5社から不正行為の報告を受けた。トヨタは現行生産車3車種(カローラフィールダー/アクシオ、ヤリスクロス)について、歩行者保護試験で虚偽データを提出するなどしていた。マツダも現行生産車2車種(マツダ2、ロードスター)でエンジン制御ソフトを書き換えていた。ヤマハ発は現行生産車「YZF-R1」で規定と異なる出力で騒音試験を実施していた。トヨタとマツダは、過去の生産車で衝突試験における試験車両に不正な加工を施していたことも判明した。ホンダとスズキ、ヤマハ発では「試験成績書」と呼ばれる書類の虚偽記載も行っていた。

国交省は「新たな不正行為が明らかになったことは極めて遺憾」とし、5社を立ち入り検査して違反内容を精査したり、不正が見つかった現行生産車の保安基準適合性を確認したりする方針だ。