川崎重工業が9日に発表した2024年3月期業績は、営業利益に当たる「事業利益」が前年度比43.9%減の462億円、当期利益が同52.1%減の253億円と大幅に減少した。航空機エンジンの不具合を受けて580億円の特別損失を計上したほか、「パワースポーツ&エンジン」(PS&E)で、米国向け四輪車の過去のリコール(回収・無償修理)関連費用を上積みしたことなどにより大幅減益となった。

 一方、25年3月期は前年からの反動増で売上高にあたる「売上収益」は同21.7%増の2兆2500億円を計画。事業利益は同2・8倍の1300億円と過去最高を見込む。

 24年3月期の売上収益は同7.2%増の1兆8492億円の増益だったが、利益は減少した。特別損失を計上した「航空宇宙システム」で150億円の赤字(前年は148億円の黒字)となったほか、精密機械・ロボットで中国向け産業用ロボットなどが減少し19億円の赤字だった(同87億円の黒字)。橋本康彦社長は「エンジンの問題がなければ事業利益は1千億円を超え、過去最高益になっていた」と述べた。

 PS&Eは、フィリピンやインドネシア、タイなど新興国向け二輪車が減少したが、米国向け四輪車や欧州向け二輪車が増加したことで、売上高は同0.2%増の5924億円と横ばいだった。事業利益は米国でのリコール費用計上のほか販売促進費や固定費が増加し、同32.9%減の480億円となった。二輪車の卸売り台数は同20%減の44万4千台だった。