欧州系自動車メーカー3社が2024年1~3月期決算を発表した。フォルクスワーゲン(VW)グループ、メルセデス・ベンツ、ステランティスの3社ともに売上高が減少。営業利益も1~3月期実績を開示していないステランティスを除く2社が減益だった。中国での高級車需要縮小や欧州での電気自動車(EV)減速などが業績に響いた。

 VWグループの売上高は前年同期比1.0%減の754億6100万 ユーロ (約12兆6980億円)、営業利益は同20.2%減の45億8800万 ユーロ (約7720億円)だった。新車小売台数は、同3.1%増の210万4千台と増加した。ただ、収益性が高いアウディやポルシェがサプライチェーンの問題で納期が遅れたほか、ポルシェが中国で台数を落とし、商品ミックスが悪化した。ドイツの補助金終了などで欧州のEV需要が縮小した影響も受けた。

 アルノ・アントリッツ最高財務責任者(CFO)は「第1四半期のスロースタートは予想通り」と述べ、通期業績予想は据え置いた。VWは今期、グループ全体で30以上の新型車を投入する計画。合わせて中国などで固定費圧縮を推進し、収益性改善を図る狙いだ。

 メルセデス・ベンツの売上高は同4.4%減の358億7300万 ユーロ (約6兆3580億円)、EBIT(利払・税引き前利益)は同29.2%減の38億6300万 ユーロ (約6500億円)だった。乗用車の新車販売台数は同8.0%減の46万2978台。VW同様に中国で高級車需要が縮小した影響を受けた。EVの販売もスマート「EQフォーツー」の生産終了などで同8.0%減の4万7521台と減少に転じた。

 ステランティスの売上高は同11.7%減の416億9700万 ユーロ (7兆1500億円)、出荷台数は同10.0%減の133万5千台だった。同社で最も事業規模が大きい北米の売上高が同15.3%減の192億9100万 ユーロ (約3兆2450億円)と減少した。モデルの切り替えに伴って出荷台数が約2割減少したほか、販売奨励金の増加や為替のマイナス影響を受けた。