インタビューに応じるトーマス・シェーファーVWブランドCEO
主力車種「ゴルフ」は次期モデルをEV専用車とする(手前は現行モデル)

電気自動車(EV)の販売が逆風にさらされている中、エンジン車を再評価する動きが広がっている。これまでEV販売を強化してきた独フォルクスワーゲン(VW)も、EVとエンジン車を「向こう10年くらいは両立させていく必要がある」(トーマス・シェーファーVWブランドCEO)と改めてエンジン車の販売にも注力する方針を示した。

4月12日、日刊自動車新聞などのインタビューにオンラインで応じた。

VWがエンジン車の販売も強化する背景には欧州でのEV販売の減速がある。急速に進んでいたEVシフトだが、ここにきてエンジンを搭載するプラグインハイブリッド車(PHV)やハイブリッド車(HV)などの電動車の評価が高まっている。欧州連合(EU)では2035年までにエンジン車の新車販売を原則禁止とする方針を掲げるが、「これらからPHVも3車種投入する。過渡期はエンジン車も両立させていく」(同)と話す。

とはいえ、将来的なEVシフトへの備えも着々と進めていく。当面はそれぞれのパワートレインを維持するビジネスモデルを展開するが、最終的なカーボンニュートラルはEVや燃料電池車(FCV)などのゼロエミッション車で進めていくと強調する。一例として、主力モデル「ゴルフ」の9世代目となる次期型は「完全なEVになる」(同)とEV専用モデルとする考えを示した。

一方で、EV専用モデルの「ID.シリーズ」は販売の伸び悩みなどもあり、車名を見直す。現在のID.シリーズは「数字で表しているが、これから名前にしていく。当面は並存していくが、2020年代末までには整理していく」(同)という。