レース用スポーツシートのMSH-001

 トヨタ紡織は、競技車用シートのノウハウを市販品の開発に応用していく考えを明らかにした。スポーツシート「TBスポーツⅡ」がトヨタ自動車の限定モデル「GRカローラ モリゾウエディション」に採用された。今後も運転の楽しさを味わえる次世代スポーツシートを開発し、限定車や量産車への採用を目指す。

 同社は2008年から競技車用シートの開発に着手し、11年のニュルブルクリンク24時間耐久レースに参戦した「レクサスLFA」に初めて搭載された。今は、国内のスーパー耐久シリーズに参戦する「GRヤリス」と液体水素で走る「GRカローラ」向けのシートを手がける。

 競技用は、カーボン製のシート骨格「シェル」に、ドライバーの体格に合わせ、さまざまな形状や硬さのウレタンを組み込む。ドライバーとのやりとりの中で「コーナーを曲がる際に体のどの部分を支えるべきか」といった、乗り心地の向上にもつながる知見が蓄積され、市販車にも生かせているという。

 シート実験部で乗り心地を担当する竹内晋也主任は、「よりサーキットを想像してもらえるものになればいい」と、クルマ好きに評価されるシートづくりに意欲を見せた。シート事業本部の猪田敦史スポーツシート開発室長は「この先のチャレンジとして、リサイクル素材を採り入れるなどのアプローチも考えていきたい」とも語った。