日本電解は、米国などで電気自動車(EV)市場の成長が鈍化していることから、車載電池用銅箔を手がける予定の米国ジョージア州のオーガスタ工場の着工を見直すと発表した。EVやリチウムイオン電池の需要状況に応じて着工時期と稼働時期を判断する。
米国では、北米生産のEVなど条件付きながらEV購入の補助金を支給するインフレ抑制法(IRA法)などによってEV需要が急増し、電池メーカーなどが北米で車載用リチウムイオン電池の生産能力の増強する計画を打ち出していた。
しかし、足元では米国の金利上昇などでEV購入意欲が低下、2023年5月以降、EVの在庫が増加している。これに伴って昨秋以降、リチウムイオン電池の工場建設計画の見直しが相次いでいる。このため、同社もEV市場やリチウムイオン電池の需要回復が見込まれるまで着工を延期する。
オーガスタ工場はすでに土地は取得しており、当初計画では22年9月に着工して24年夏にサンプル出荷する計画だった。その後、インフレに伴う建設コスト上昇などで工場完成時期を変えない範囲で着工を23年2月に延期したが、建設コストを削減するため、着工を再度延期し、工場完成時期についても検討を進めていたが、着工時期は事実上「未定」となる。
オーガスタ工場の生産能力は年産9500㌧で、将来的には2万8500㌧にまで拡大することを視野に入れている。