ニデック、創業者の永守重信氏が引責辞任 非常勤の名誉会長に 「ご心配をおかけし申し訳ない」

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  • 2025年12月19日

ニデックは12月19日、創業者の永守重信氏が代表権を返上して取締役も辞任し、非常勤の名誉会長に退くと発表した。本人の意向としている。取締役会議長は岸田光哉社長が引き継ぐ。永守氏は約50年にわたって同社の経営をリードし、業績不振の企業などを買収して再生する手法で規模を拡大してきた。不適正な会計が発覚したことで引責辞任した。

同社は5月に不適切な会計が発覚。その後、不正な会計処理の範囲が拡大し、同社経営陣が不正に関与していた疑いも持たれており、9月に設置した第三者委員会が調査している。

9月には延期していた有価証券報告書を関東財務局に提出したものの、監査法人のPwCジャパンは監査の証拠を確認できないとして「意見不表明」とした。日本取引所グループは10月28日にニデックを上場廃止になる可能性のある「特別注意銘柄」に指定している。さらにPwCはニデックの2025年4~9月期業績も「意見不表明」としている。

こうした事態を受けて、長年にわたって同社の経営を主導してきた永守氏の責任を問う声は高まっていたものの、経営陣は第三者委員会の調査結果を待ってから責任の処遇を明確化する方針としていた。今回、永守氏が自ら取締役の辞任を申し出た。

永守氏は代表取締役・グローバルグループ代表、取締役会議長のすべての役職を19日付で辞任し、非常勤の名誉会長となった。今後は「長年にわたって培ってきた創業精神の伝承をはじめ、ニデックグループの永続的な価値向上に尽力する」(同社)としている。

また、永守氏は同日夜、署名入りで声明を発表。「ニデックの企業風土が云々ということで、世間の皆さま方にご心配をおかけすることになった。この点、申し訳なく思っている」とした。また、「ニデックが早く再生し、生まれ変わることが私の一番の願いであり、そのことが社会的公器である企業として重要」とコメントした。

(2025/12/19更新)

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