キャンピングカーの販売会でも多くの来場者が訪れている

 キャンピングカーの架装事業者などで構成する日本RV協会(JRVA、荒木賢治会長)がまとめた「年次報告書2023」によると、加盟企業の23年販売総額は、前年比38%増の1054億円だった。1千億円を超えたのは、11年の統計開始以来、初めて。併せて、保有台数が初めて15万台を超えた(15万5千台)ことも分かった。コロナ禍でユーザーの生活様式が変化。アウトドアやテレワーク、車中泊などに関心が集まったことが、キャンピングカーの市場拡大の後押しとなっているとみられる。

 販売総額は増加傾向にある中、コロナ禍の影響を大きく受けた22年以降は伸び幅も拡大している。前年比で21年の53億円増に対し、22年は127億円増、23年は292億円増と、市場が広がっていることが鮮明になった。

 23年の販売総額の内訳では、改造範囲が広く特殊用途車両となる「8ナンバー」を取得した新車が390億円で最も大きかった。これに「8ナンバー中古車」(326億円)、「8ナンバー以外新車」(274億円)が続く。

 増加率でみると、8ナンバーの中古車が前年比で約2・5倍と大きかった。中古車であれば新車と比べて価格が安くなるため、初心者でも手が出しやすい。JRVAでは「初めてキャンピングカーを購入するユーザーが増えたため、選ばれたのではないか」(担当者)とみている。また、改造範囲が限られ、価格も抑えられる8ナンバー以外の新車も約2・2倍増となった。こうしたライトユーザーのニーズを満たしたモデルをそろえたことが、販売拡大を後押しした格好だ。

 車両カテゴリー別の販売台数では、国産車は商用バンなどを架装した「8ナンバーバンコン」が7829台で、最も多かった。新車、中古車ともに割合が高く、23年に販売されたキャンピングカーの1万5179台のうち、約52%を占めた。これらはミニバンをベースとするものも多く、日常の足としても使用できるメリットがある。こうした汎用性の高さが購入の決め手となっていると考えられる。

 輸入車では「8ナンバーキャンピングトレーラー」が421台で最多だった。

 国内の自動車保有台数はここ数年、伸びが緩やかになっている。さらにCASE(コネクテッド、自動運転、シェアリング、電動化)の進展で、自動車が移動手段としての役割が強まる可能性もある。こうなると、車の個性や魅力が失われると危ぐする声も少なくない。一方、パワートレインが変わっても、キャンピングカーであれば、旅行やアウトドアなどを楽しむためのツールであることに変わりはない。次世代車が増えても、キャンピングカーは国内市場を刺激する存在であり続けそうだ。

 年次報告書の調査は、JRVAに加盟しているキャンピングカーメーカー、および販売会社140社を対象に実施。2023年11月1~30日の期間中、127社から回答を得た。