浅草生まれ、漢方医の息子、東京師範、陸軍士官学校、航空士官(中佐)、ドイツ通、航空事業家、超重爆撃機製造に関与、豪邸の主、起業家、現実主義者、日本デイゼル工業社長、人道主義者、現実主義者、陸軍嘱託員など多彩な顔を持つ。それぞれが謎めいている

「とにかく会社は、何回もつぶれそうになっているわけです」―。日本デイゼル工業に入社して戦前、戦中を経て、戦後の日産ディーゼル工業まで務めた阿知波二郎(※54/第九章)の言葉は真に迫るものがある。それでも会社はつぶれず、今も最新のトラックを製造している。連載では、わずかな安達堅造の足跡をたどりながら、さまざまな難局を切り抜けてきた会社の生い立ちを紹…