スバルが群馬に新設するイノベーション・ハブ
広島のマツダ本社工場地区

 内燃機関をアイデンティティーの一つに据えてきたスバルとマツダが、電動化やデジタル化に対応できる人材づくりを急いでいる。スバルは、製造部門と開発部門の一部を一体化する組織改正を実施。マツダも商品企画や開発、生産など、これまで機能ごとに分散していた電動化に関わる人材を1カ所に集約する新組織を立ち上げた。水平対向、ロータリーと、競合他社にはないエンジンを育て上げ、ブランド価値の向上にも役立ててきた両社。それ故に、電動化の対応が遅れていた。組織を大きく変えて意思決定を速め、新たな価値を創造できる従業員を一人でも多く増やす考えだ。

 スバルは10月1日付で、製造本部の名称を「モノづくり本部」に変更した。これに合わせ、車両開発などを担う技術本部内にあった試作部門を、モノづくり本部に移した。技術部門と製造部門が一体となって新型車などの試作に取り組むことで、開発から生産までのリードタイムの短縮が狙いだ。

 スバルをはじめ、国内の自動車メーカーは、設計や試作、開発、製造と機能ごとにバトンをつないでいく〝リレー方式〟で一つの車種を造る工程を採用してきた。こうした開発手法は、プロジェクト全体の工程や予算の管理がしやすいメリットがある。しかし、各機能が同時進行で1車種を造る方式に比べると、どうしても開発期間が長引く傾向にある。

 足元では、新興のEVメーカーが短期間に新型車を相次いで投入している。市場や顧客のニーズの変化に、タイムリーに対応できなければ、商品競争力を失う可能性もある。大崎篤社長も「これだけ変化が激しくなると、もっと開発期間を短くして矢継ぎ早に商品を投入する必要がある」と、危機感を募らせる。このため、大きく開発工程を変えることで、課題解決を目指す決断をした。

 さらに、開発拠点の在り方も見直す。2024年1月に群馬県太田市に新設する「イノベーション・ハブ」は、開発や製造部門、サプライヤー、研究機関の人材を1カ所に集め、電動化に対応する戦略拠点として活用する。それぞれに分散していた知見やノウハウを集約し、開発期間の短縮のほか、将来を担う人材育成にも役立てる考えだ。

 一方、マツダは11月1日付で、新たな組織「電動事業本部(e―MAZDA)」を新設した。電動化やデジタル化に関連する機能を一つに再編。同本部の傘下に「全体戦略・統括センター」「開発・ものづくりセンター」「ビジネスセンター」「業務・組織変革センター」を連ねる組織構成とした。

 毛籠勝弘社長は「EV開発に必要なリソースを1カ所に集めて意思決定のスピードを速める」と、新本部の機能を説明する。電動化の進展に合わせ、段階的にマツダ本体の人材を新本部に集めていく計画で、「電動化に向けて機動的な挑戦ができる体制を目指す」との意気込みをみせる。

 23年4~9月期の連結決算では、両社とも過去最高の売上高となるなど足元の業績は上々だ。この余力も生かして組織や人材配置の最適化で、将来に向けた事業基盤の強化に取り組む方針。稼いだ利益を電動化投資に優先的に配分し、EVをはじめとする電動車でも存在感を高めていく考えだ。

(水鳥 友哉)