欧州事業の立て直しが急務だ(ポーランド工場)

 日本精機は「新中期経営計画2026」を公表した。ヘッドアップディスプレー(HUD)関連事業と欧州事業の強化、新規顧客及び新規商材開発に力を入れ、2027年3月期に売上高3300億円、営業利益165億円、自己資本利益率(ROE)5・5%を目指す。さらに30年3月期には売上高4千億円、営業利益280億円、ROE8・0%の達成も掲げた。

 HUD事業強化に向け、29年度までに約150億~200億円を投じる。主力である中・大型車向けに加えて、軽自動車や小型車向けの拡販にも取り組む。また、このほど試作を終えた「後付け可能コンバイナーHUD」の量産も検討する。

 後付け可能コンバイナーHUDのような新商材の開発や新規顧客への売り込みも積極的に行う。HUDでは、3D(三次元)のように奥行きを表現する技術を取り入れた「Slope―HUD」のほか、軽自動車/小型車向けHUDも開発中だ。メーターでは、フロントガラス下部に液晶を埋め込み、速度や警告を表示する「ウィンドシールドディスプレイ」も開発した。HUD事業では、29年度までに売上高1千億円を目指す。

 22年度の地域別営業損益で50億円の赤字となった欧州事業も29年度までに黒字化したい考えだ。まずは英国オフィスの工場への集約やオランダ事業所の縮小、ポーランドへの人員シフト、物流の海上輸送シフトなどで約17億円のコスト削減を目指す。新機種の受注による販売数量増で約11億円、原価改善や原材料費高騰に伴う価格転嫁で約24億円の利益改善を見込む。