第1工場は、地域の防災拠点としての活用も検討する
第1工場の2階共用部分

 トヨタ自動車の電池子会社であるプライムアースEVエナジー(PEVE、岡田政道社長、静岡県湖西市)は、静岡で整備を進める「コサイ・バッテリー・パーク」に電気自動車(EV)用とハイブリッド車(HV)用の合わせて3工場を設ける。同社初となるEV専用「第3工場」は2026年頃の生産開始を見込む。世界的に車載電池の開発や量産競争が激化する中、初代「プリウス」から培った量産技術を生かし、より低コストで高品質な電池生産を通じて電動車の商品力向上につなげていく考えだ。3工場合わせて約1千人が働くPEVEの一大生産拠点となる。

 第1・第2工場は、トヨタの「全方位戦略」を支えるHV用リチウムイオン電池を生産する。第1工場は建屋がすでに完成しており、来春から生産を始める。第2工場は今秋にも建屋が完成し、25年に生産開始する。新工場は「地域に愛される工場」「働く人にやさしい工場」を掲げ、ガラスを多用した開放感あふれる造りとするほか、太陽光発電設備や外部からの再生可能エネルギー調達などにより製造カーボンニュートラル(温室効果ガス排出実質ゼロ)を目指していく。見学客を受け入れる施設の整備なども検討するという。

 トヨタグループ創始者、豊田佐吉氏の生誕地である湖西市は、PEVEのほか、FDKやGSユアサエナジーなどが電池の生産拠点を持つ。コサイ・バッテリー・パーク付近と国道1号の大倉戸インターチェンジ(IC)を結ぶ都市計画道路(バッテリーロード)も開通し、交通アクセスも向上した。湖西市は蓄電池産業の育成に力を入れており、引き続き、道路や下水道などのインフラ整備を進めて関連企業の誘致を図っていく考えだ。

 「100馬力で36時間運転でき、重さは225㌔㌘以内」―1925年に豊田佐吉氏が蓄電池の開発を奨励してから2025年で100年になる。節目の年に向け、「バッテリーの町・湖西」でPEVEの新たな挑戦が始まった。